万丈[語句情報] »
万丈
「万丈〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
万丈の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十世紀旗手」より 著者:太宰治
ち二人の身のまわりを吹き荒《すさ》ぶ思い、見ゆるは、おたがいの青いマスク、ほかは
万丈の黄塵に呑まれて一物もなし。この暴風に抗して、よろめきよろめき、卓を押しのけ....
「八十八夜」より 著者:太宰治
汚いくさい、まっ黒い馬小屋へ、一瞬どしんと落ちこんでしまった。ただ、もやもや黒煙
万丈で、羞恥《しゅうち》、後悔など、そんな生ぬるいものではなかった。笠井さんは、....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
の同僚たちを胸のすくほど唖然《あぜん》たらしめて、われわれ右門ひいきの者のために
万丈の気を吐いてくれたことはすでに前節で物語ったとおりでありますが、しかし人盛ん....
「錯覚自我説」より 著者:辻潤
って、古谷氏の如き偉大なる形而上的ドン・キホーテが現出して、形而上的欲望のために
万丈の光焔を吐くことは実に僕のひそかに愉快とするところである。 形而上的思索の....
「碧蹄館の戦」より 著者:菊池寛
考えて、日本軍の不統一が分るわけで、京城在城の諸軍隆景と宗茂だけよく日本のために
万丈の気を吐いたわけである。 ある日、秀吉が諸大老と朝鮮の事を議しているとき、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
に彼女を妹の如く愛した。
葛城は新英州の大学で神学を修めて居た。欧米大陸の波瀾
万丈|沸えかえる様な思潮に心魂を震蕩された葛城は、非常の動揺と而して苦悶を感じ、....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
る――」と唄い初め唄いおさむる建前のあした、都の空にこの唄声の漸く拡ごり行けば、
万丈の紅塵一時に鎮まりかえって、払いたまえともうす棟梁の上なる神幣、そよ風に翻っ....
「雷」より 著者:海野十三
、雷鳴は次第次第に天地の間に勢を募らせていった。 「おお、荘厳なる雷よ! さあ、
万丈の天空より一瞬のうちに落下して、脳天をうち砕き、脾腹をひき裂け!」 彼はこ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
おからだが、下界から見る月の中から、この世へ下りる間には、雲が倒に百千万千、一億
万丈の滝となって、ただどうどうと底知れぬ下界の霄へ落ちている。あの、その上を、た....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
らまた たあ――んぐろえ 山※子売りはハルビン街上風景の一主要人物である。黄塵
万丈の風に乗って、泣くようなその売り声が町の角々から漂ってくるとき、人は「哈爾賓....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
て書いた通信の枚数は沢山だが、それで少しも修正の必要なく、文体も立派で、時に気焔
万丈、行文の妙を極むるのであった。 『が、私は私の心が少しも利用されないとか、私....
「演劇の様式――総論」より 著者:岸田国士
劇の意であるが、今日では、興味本位のどぎつい「大芝居」の意に用いられる。筋は波瀾
万丈、人物は類型的、泣かせたり笑わせたりすればよいという風な人を喰つたものである....
「月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
裏に廻った。こちらは足の掛りもないほど急で、頂上から下を見ると眼も眩むばかり幾十
万丈とも知れぬ深さだ。 光雄はその一番先きに突き出している岩の上に這い出て下を....
「銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
乾きてあさ露を飜し尽したる路傍の柳は、修羅の巷の戦を見るに堪えざらんように、再び
万丈の塵を浴びて枝も葉も力なげに垂れたり。....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
り、赤土にあらずして白土なり。ただし、その質砂よりも軽く、風来たればたちまち黄塵
万丈を起こすことは相同じ。樹木は常葉樹多く、落葉樹少なし。わが松と柳に似たるもの....