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万事
「万事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
万事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
―あの赤く皮のたるんでいる頸《うなじ》を、ただ、一突き突きさえすれば、それでもう
万事が終わってしまう。突き通した太刀《たち》のきっさきが、畳へはいる手答えと、そ....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
、やがて私が向うへ行くと、その団体の会長たる大垣町長の斡旋《あっせん》によって、
万事がこの我儘な希望通り取計らわれたばかりでなく、宿も特に普通の旅館を避けて、町....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
も云った通り、夜《よ》は深いし風も出ている、――わたしの商売にとりかかるのには、
万事持って来いの寸法《すんぽう》です。わたしは路ばたの天水桶《てんすいおけ》の後....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
越した実直な男で、その時右の手の指を痛めて、筆を持つ事が出来なかったのである。「
万事都合よく運んだからその中にゆく。」と書いてくれと云うので、その通り書いてやっ....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
着ているものは、若槻を除いては一人もあるまい。――まずあの男の暮しぶりといえば、
万事こういった調子なんだ。
「僕はその日《ひ》膳《ぜん》を前に、若槻と献酬《けん....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
も
立たぬ鳥もありけり
三
大殿様と若殿様とは、かように
万事がかけ離れていらっしゃいましたから、それだけまた御二方《おふたかた》の御仲《....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
』と、際《きわ》どい声で尋《たず》ねました。三浦は依然として静な調子で、『君こそ
万事を知っていたのか。』と念を押すように問い返すのです。私『
万事かどうかは知らな....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
今更改めて問う必要はない。己はむしろ、時にはあの女に憎しみさえも感じている。殊に
万事が完《おわ》ってから、泣き伏しているあの女を、無理に抱き起した時などは、袈裟....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
勿論君にはのみこめないだろう。いや、のみこめないばかりなら好《い》いが、あるいは
万事が嘘のような疑いを抱きたくなるかも知れない。それでは僕も不本意だから、この際....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
《ひあぶ》りや磔《はりつけ》に遇《あ》わされていた。しかし迫害が烈しいだけに、「
万事にかない給うおん主《あるじ》」も、その頃は一層この国の宗徒《しゅうと》に、あ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
来、堀内伝右衛門を、わざわざこちらへつれて来などはしなかったのに相違ない。所が、
万事にまめな彼は、忠左衛門を顧《かえりみ》て、「伝右衛門殿をよんで来ましょう。」....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
私があの時何した株なんぞも、みんな今度は下ってしまったし、――」
「よし、よし、
万事呑みこんだよ。」
父は浮かない顔をしながら、その癖|冗談《じょうだん》のよ....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
る気づかいはないと思っていた。そういう心もちになるには、あまり形式が勝っていて、
万事がおおぎょうにできすぎている。――そう思って、平気で、宗演老師の秉炬法語《へ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
るようだった」と形容しても好い筈《はず》である。
もし通用さえするならば、――
万事はこの不可思議なる「通用」の上に懸っている。たとえば「わたくし小説」もそうで....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
こう言うと、煙客翁は頭を振りながら、妙な瞬《まばた》きを一つしました。
「まるで
万事が夢のようです。ことによるとあの張家《ちょうけ》の主人は、狐仙《こせん》か何....