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「万無〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

万無の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
覗きになりました。 十九 「されば恋の功徳《くどく》こそ、千万無量とも申してよかろう。」 やがて若殿様は、恥しそうに御眼を御伏せになった御....
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
誰さん、某さん、おいとま乞いにお宅の庭さきに立ちて、ちりりんと鈴の音にさえわが千万無量のかなしみこめて、庭に茂れる一木一草、これが今生《こんじょう》の見納め、断....
草枕」より 著者:夏目漱石
るかを知らぬ様《さま》である。攫《さら》われて空行く人のごとく、ただ不可思議の千万無量――あとがちょっと読みにくいですよ。どうも句にならない。――ただ不可思議の....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
るのに慣れて、医学士の手際が上ったなどとは、唯短い言葉だけれど、能く思えば実に千万無量の恐ろしさが籠って居る、其の代り余が脱け出たなら此の毒蜘蛛の巣窟に大掃除を....
田舎教師」より 著者:田山花袋
! 思へばありしことども思ひ偲ばる。『去年冬の、今年の春!』といふ君が言葉にも千万無量の感湧き出でて、心は遠く成願寺のあたり」云々。夜、星清くすんで南に低く飛ぶ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
! こわいばかりがこの方の身性ではない。ほんとうに思いやりのある!……と、眼に千万無量の感謝をこめて左膳を見あげ、 「なんとお礼を申しあげてよいやら――あの、源....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
。が、それを心着いた時は――と云って垂々と額に流るる汗を拭って――ただ一瞬間に千万無量、万劫の煩悩を起した。いかに思い、いかに想っても、この窈窕たる淑女は、正し....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
……外目《よそめ》には強く打つと見せて、腹の中は血の涙で煮え返る、その心の中は千万無量だ。それをこの弁慶は、ここにいる弁慶なるものは、ただもういい心持でブン擲《....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
興を催せ、これに嫉妬だの、艶羨《えんせん》だのというに似た感情を起させることは、万無いのでありました。 そこで、立聞きをしていた人も、存外いらいらした気分も見....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
間とは何だと、野暮な追究を試みるようなことをしないで、三つにでも、四つにでも、千万無量にでも、分けられるものなら分けてみねえなという度量を示したものですから、弁....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
てるも同様というわけなんでげす。先以《まずもっ》て、物の数というやつは、たとえ千万無量の数がありましょうとも、これを大別して丁と半とにわける、丁でない数は即ち半....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
のユリもという表現で出て、健全に明るくあり得るところ、面白いわね。ここのところ千万無量の面白さ。何か本当の男らしさ、女らしさ、その美しさ、自然さというようなもの....
沈黙の水平線」より 著者:牧逸馬
てペンを走らすのみ。余が妻は嬰児を抱きて、石像の如く余が傍らに立てり。相顧みて千万無量の微笑、最早や凡べては畢《おわ》んぬ。海中に投じらるるも離れじと、妻は今己....
妖怪学」より 著者:井上円了
なり。余は、この理想の本体を真の大妖怪というなり。もしまた、我人、外界にありて千万無量の物象を観察し去りて、その裏面に一貫せる理法の中心に洞達し、その実体いかん....
間人考」より 著者:喜田貞吉
至ったものと解せられる。和名抄に備中国浅口郡に間人郷というのがあって、刊本には「万無土」と訓じ、高山寺本には「波之布止」と訓ませている。また丹後国竹野郡にも同じ....