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万策
「万策〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
万策の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
もまたしだいに曇って、美しい顔の色がだんだんとくらまっていきました。その顔の色で
万策の尽きたことを知ったものか、伝六がそばから伝六なみの鬱憤《うっぷん》を漏らし....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
には庄司署長が初めて証人として出廷訊問を受ける事になっている。この訊問こそ支倉の
万策尽きた今日、残された唯一の頼みの綱で、冤枉八年の叫び空しきか、将又空しからざ....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
いに重武は単独で秘密を察したので、彼以外には未だ知るものはないのだ。 僕はもう
万策尽きた。到底取下げさせるという事は出来ないから、重武も別に動かすべからざる証....
「勉強記」より 著者:坂口安吾
驚くべき心理状態に襲われてしまうあの空々漠々たる時間のあいだ、流石に悧巧な人間も
万策つきてこんな顔付になることがあるという話であるが、あの部屋に限って二人の人が....
「お魚女史」より 著者:坂口安吾
ない。人の居ない焼跡の方へ歩けば、益々小平三世ぐらいに見立てられるに極っている。
万策つきて、 「アッ、そうだ、忘れ物をした」 と叫ぶと、お魚女史の手を払って、....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
蓮の舌が舞い狂って飛びつきそうにせまっている。ここに至って、逆上ぎらいの石川淳も
万策つきて顛動し、ズボンのボタンをはめるのに手のふるえがとまらず、数分を要したと....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
なければならない。吐き気があまりひどいので、いつも医師が呆れるのである。だから、
万策つきた時でないと、モヒを打ってもらわないようにしているのである。 痛みはひ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
が、こりるどころか益々熱をあげてひきつづいて、相当の穴をあけてしまった。そのとき
万策窮して、実父の預金があることを知っているから、ミネに事情をあかして借財をたの....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
なら同志を匿まえるかも知れないという考えを、自ずと中村氏に洩らしたものであった。
万策尽きた際とて、これが中村氏から同志の人々に伝えられ、あらためて頭山先生からお....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
、どっちにも、瞬きを止めるあの感動をあらわしたに過ぎなかった。末起はそれをみて、
万策尽きたように感じた。このまま、永遠に鎖の音を聴き、解けぬままにどこまでも引き....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
媚態を呈し、種々話しかけたが、しづは口をとざし、頑として答えなかった。 羽山は
万策つき、加藤律治氏にその由を打明けるなど努力したが、そのうちしづは「最初から羽....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
出るわけはなく、看板をあげるにもチラシを印刷するにもまったく金の出どころはない。
万策つきて考え出したのが手刷りだ。 辛うじて木版と半紙を算段して、五十枚か百枚....
「キド効果」より 著者:海野十三
合わせて証拠湮滅をはかるのだから、これは探し出そうという方が無理である。 遂に
万策つきて、已むなく木戸博士の出馬を乞わねばならぬこととなったわけだった。博士も....
「罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
ずっと失業していた友木は、それまでに親戚や友人から不義理な借財を重ねていたので、
万策尽きて玉島から五十円の金を借りた。それからと云うものは、友木は病気から十分に....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
りではなかった。なんとかせねばいかん、なんとかなるだろう、という気持だった。もし
万策つきれば、この体ひとつ売ってでも始末をつけよう、と最後の腹は決めていた。 ....