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万籟
「万籟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
万籟の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
で、俺はソノ……旧の処に居る。ハテなと思た。それよりも更と不思議なは、忽然として
万籟死して鯨波もしなければ、銃声も聞えず、音という音は皆消失せて、唯何やら前面が....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
涙を浮べ、一座|退りて手をこまぬき、拳を握りてものいわず。鐘声遠く夜は更けたり。
万籟天地声なき時、門の戸を幽に叩きて、 「通ちゃん、通ちゃん。」 と二声呼ぶ。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のせせらぎすらも聞えない。軒端を渡る夜風のそよぎすら聞えないところを以て見れば、
万籟《ばんらい》死したりと感ずるのは無理もありません。 しかし、夜というものは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しますると京洛の夜の世界、このあたりは多分、山科の盆地、今の時は丑《うし》三ツ、
万籟《ばんらい》が熟睡に落ちております、この静かな世界におりながら、私もこの世界....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
敦賀街道を北に向って進み行くと、行手の山の峡《かい》から、人が一個出て来ました。
万籟《ばんらい》静まり返った比叡と鞍馬の山ふところ、いずこからともなく、人が一個....
「小春」より 著者:国木田独歩
る所以の者は、自然は決して彼を愛せし者に背。 かるが故にしき千象の宮、静かなる
万籟の殿たるべし。 ああ果たしてしからんか、あるいは孤独、あるいは畏懼、あるい....
「星」より 著者:国木田独歩
、大空と地と次第に相近づけり。星一つ一つ梢に下り、梢の露一つ一つ空に帰らんとす。
万籟寂として声なく、ただ詩人が庭の煙のみいよいよ高くのぼれり。 天に年わかき男....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
かせた見るからにすさまじいさながらの廃墟、時刻はあたかも丑満刻《うしみつどき》、
万籟寂として滅し、聴えるものはホイホイというなにやら怪しい物音ばかり。コン吉は早....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
です。銀座なぞは人で、さぞ雑踏しているでしょう。 が、この無人の高原地帯では、
万籟寂として天地あらゆるものが、声を呑んで深い眠りに落ちているのです。私の越えて....
「活人形」より 著者:泉鏡花
全体虫が気に喰わぬ腸断割って出してやる。と刀引抜き逆手に取りぬ。 夜は正に三更
万籟死して、天地は悪魔の独有たり。 (次三郎とは本間のこと、第一回より三回の間に....