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「万苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

万苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
態とすればなり。人|相賊《あいぞく》してついに達する能《あた》わず、あるいは千辛万苦して始めて達し得べきものも、ただ互に善を行い徳を施こして容易に到《いた》り得....
仇討三態」より 著者:菊池寛
恐ろしい空虚が、彼の心を閉した。すべてが煙のように空しいことに思われた。千辛万苦のうちに過した十六年の旅が、ばかばかしかった。敵に対する憎悪も、武士の意地も....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
いますさ。あの辺は深い雪と聞きますから、浪士も難渋いたしましたろうよ。」 「千辛万苦の旅ですね。」 と勝重も言っていた。 間もなく景蔵らはこの稲葉屋を辞して....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
つ良人の何事も鷹揚に東洋風なるが、まず夫人不平の種子なりけるなり。 中将が千辛万苦して一ページを読み終わり、まさに訳読にかからんとする所に、扉翻りて紅のリボン....
安重根」より 著者:谷譲次
緒にやろう。読むぞ。(慷慨の調にて大声に) 敵の汝に逢わんとて 水陸幾万里 千辛万苦を尽しつつ 輪船火車を乗り代えて 露清両地を過ぐるとき 行装のたびごとに 天....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
どうも是迄の身の上では、薄氷を蹈むが如く、剣の上を渡るような境界で、大いに千|辛万苦をした事が顕われているが、そうだろうの」 孝「誠に不思議、実によく当りました....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
川家の地位を考えてみるがいい。天下は麻の如く乱れて四隣みな強敵だ。その間から千辛万苦して、日本を平らかにする――勢い兵馬を強からしめねばならない。兵馬を強からし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
家の地位を考えてみるがいい。天下は麻の如く乱れて、四隣みな強敵だ。その間から千辛万苦して天下を平らかにする――勢い兵馬を強からしめねばならない。兵馬を強からしめ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
らない、昔のままの頭を以て、今の生活をしようというは無理ですよ、わたしたちが千辛万苦をしてなりとも、異境の土になりたいというのは、今までの生活がいやだからです、....
星女郎」より 著者:泉鏡花
婦人は、我が身も同じに、悲み傷んで、何は措いても、その悪い癖を撓め直そうと、千辛万苦したけれども、お綾は、怪い情を制し得ない。 情を知った貴婦人は、それから心....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
んで、すくすくと延びた肢体、見あきないものがある。 そこで私は、この小動物も、万苦をしのび、いつの日かモノにする折がなければ、生れいでた主意がたゝぬと、堅く天....
剣侠」より 著者:国枝史郎
、冷い口調で主水は云った。 「長の月日お父上の敵、陣十郎めを討とう討とうと、千辛万苦いたしても、今に討つことならぬとは、われわれ二人神や仏に、見放された結果かも....
西航日録」より 著者:井上円了
に会するを得たるは、奇縁といわざるべからず。氏もまた哲学館出身にして、さきに千辛万苦をなめ、九死に一生を賭して、ヒマラヤ山中、無人の絶境に入り、ついに入蔵の目的....
」より 著者:中谷宇吉郎
う》の雪を視ば何の楽き事かあらん。雪の為《ため》に力を尽し財を費《ついや》し千辛万苦する事、下に説く所を視ておもひはかるべし。」 というようなことが首《はじめ》....
死児を産む」より 著者:葛西善蔵
の他などに現れた先生の芸術云々――モグラモチのように真暗な地の底を掘りながら千辛万苦して生きて行かねばならぬ罪人の生活、牢獄の生活から私が今解放されて満足を与え....