丈なす[語句情報] » 丈なす

「丈なす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

丈なすの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
間にズンズン延びて行く。 その時サーッと風の音がした。しかしそれは風ではない。丈なす菅草を踏み分けて麓の方から駈け上がって来る二騎の騎馬武者の音であった。腹巻....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
う、 恥や外聞の醜い殻を石に打とう。 甲斐のないそらだのみからさっさと手を引き、丈なす髪と琴の上にその手を置こう。 118 こころよい日和、寒くなく、暑くな....
石狩川」より 著者:本庄陸男
文字通り四肢《しし》をつかってあがって行った。段丘は雑木に蔽《おお》われていた。丈なす笹やぶがつづいていた。参差《しんし》する草木の海を泳いで、磁石の針に導かれ....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
たる電燈の下に引き出されて参ります。中にも一際もの凄くも亦、憐れに見えますのは、丈なす黒髪を水々しく引きはえて、グッタリと瞑目している少女の顔に乱れ残った、厚化....
薬草取」より 著者:泉鏡花
鎌、磨ける玉の如く、弓形に出没して、歩行き歩行き掬切に、刃形が上下に動くと共に、丈なす茅萱半ばから、凡そ一抱ずつ、さっくと切れて、靡き伏して、隠れた土が歩一歩、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
えて、しきりに墓穴を掘っている。それを覗《のぞ》き込もうとすると、墓と墓との間の丈なす尾花《おばな》苅萱《かるかや》の間から、一人の女性が現われて、その覆面の中....
サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
けれども彼はその場所を予期していたよりは早く見出したのであった。 彼等は一夜、丈なす雑草や短い刈込樹に蔽われた堤防の下に舟を舫った。昼の力漕のために眠りが彼等....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
で日本という国を知ったのであった。 それには、顔に檜扇を当てた、一人の上※が、丈なす髪を振り敷いて、几帳の奥にいる図が描かれてあって、それに感じた漠然としたあ....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
てはいるけれど、ほとんど使用に堪えないまでに青黒く砲身が錆びている。城壁に沿うて丈なす草が、人に苅られず生い茂り、乏しい紅白の草花が咲いているのも野趣がある。昔....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
とお勧めしたそうでしたが御承知にならず、あや子様は何かと人の口がうるさいからと、丈なす黒髪を切っておしまいになりました。お年は十九なのでした。誰も惜まぬ人はあり....
私本太平記」より 著者:吉川英治
そらく意識の外だったろう。いかにも、沈着な女の姿に返っているのだ。鏡で顔を直し、丈なす黒髪を櫛で梳き、それから、塗りの懐剣を持った手を、きちんと膝の上において、....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
人はしきりに「キリシタンを捨てろ、キリシタンを捨てろ」と、せまります。 ツルは丈なす黒髪を前に垂れて我が肌をかくし、ロザリオをつまぐっては聖マリアのおん助けを....
春泥」より 著者:久保田万太郎
…で、これではいけないと急に狼狽てゝ、とゞ大部屋のもの二三人があたりの闇を幸い、丈なす草のしげみにかくれてほんとうの虫笛をふくことになった。――そのなかの一人に....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
ら、道とも判らぬ程荒れに荒れている。助七が先登に立ってアカソ、イラクサ、蓬などの丈なす中を押分けて行く。湿っぽい草の香が鼻から這入って、ツーンと頭へ抜ける。矢張....