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三人称
「三人称〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
三人称の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
記憶に浮んで来たので、早速その小説が載っている巻末の頁をはぐって見た。と、それは
三人称でこそ書いてはあるが、実は今夜聞いた大井の告白を、そのまま活字にしたような....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
るものを作家自身とする小説である。いや、時には作家自身の閲歴談と見られたが最後、
三人称を用いた小説さえ「わたくし」小説と呼ばれているらしい。これは勿論|独逸人《....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
に命ぜられたのである。それは単に表題を書き改めて、ところどころ、動詞を一人称から
三人称に置きかえるだけの仕事であった。ところが、彼にはそれがもってのほかの大仕事....
「道標」より 著者:宮本百合子
ハズバンド》とか云う言葉はたしかにあったけれど、その父や良人を自分からはなして、
三人称?――ミスタ誰それ、っていう場合は、はっきり習わなかったみたいだわ」
「そ....
「地は饒なり」より 著者:宮本百合子
ていた自然現象の全部のうちに、現実を基礎としたいろいろの神秘を見出し、自分自身を
三人称で考える癖が増して来た。 「彼女は今、太い毛糸針のように光る槇《まき》の葉....
「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」より 著者:宮本百合子
当時文学青年の間に大流行をきわめた横光の観念的な心理主義が生れた。やがて無人格な
三人称の私というものが発明されて、客観的な現実世界と主観的自我との間の機械的な接....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。本当に何なのでしょう。いずれ又わかったら、どうせかかずにいないでしょうけれど。
三人称でかかず一人称のところが、却って作者と距離をこしらえているのかとも思うけれ....
「理想の女」より 著者:豊島与志雄
供を通じてであった。「あなた」というやさしい二人称は、「お父さん」という距てある
三人称に変えられていた。私に送るにこやかな眼付は、子供の笑顔に促された余波であっ....
「金魚」より 著者:豊島与志雄
日のことを思い出して、いつも変な気持になる、」と云ってSが話したことを、そのまま
三人称に書き下したのが、次の物語りである。 彼は愉快で堪らなかった。何故だか分....
「性格批判の問題」より 著者:豊島与志雄
ということは、作家の立場から云えば、一見矛盾のようであるけれども、一人称の否定と
三人称の肯定とを強要する。勿論これは創作態度についての比喩的な言葉である。も少し....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
とを人に注意されると、やさしく謝《あやま》るのだった。また時とすると自分のことを
三人称で話した。 「クラフトがそれをしてあげよう……。」 あるいは…… 「クリ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
チュイルリー宮殿において、王に向かって親しく言葉を向ける時には、いつも国王という
三人称を用いて、決して陛下と言わない巧妙さを作り出したのは、やはりこの上流の小社....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
あった。私は書斎の長椅子にころがりの言葉であった。彼女と私とは他人であった。……
三人称で呼ぶべきであった。 「物質的には食傷している。精神的には空腹だ。これが現....
「日記」より 著者:宮本百合子
ンの「決闘」をよむ、主人公、ロマショーフ少尉は実に可愛らしい。彼のすぐ自分の事を
三人称にして考えて見る癖は私の持って居るのと同じである、左様な心持になって、自分....
「私はかうして死んだ!」より 著者:平林初之輔
本文で私となっているのは、私にこの原稿を送ってくれた船井君のことである。私は最初
三人称でこの物語をはじめようと思ったが、本人自身の筆で語らせた方が効果的だと思っ....