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三伏
「三伏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
三伏の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十世紀旗手」より 著者:太宰治
まに惚《ほ》れられて、あやしく狂い、「神も私も五十歩百歩、大差ござらぬ。あの日、
三伏《さんぷく》の炎熱、神もまたオリンピック模様の浴衣《ゆかた》いちまい、腕まく....
「京に着ける夕」より 著者:夏目漱石
る。この刺激の強い都を去って、突然と太古《たいこ》の京へ飛び下りた余は、あたかも
三伏《さんぷく》の日に照りつけられた焼石が、緑の底に空を映さぬ暗い池へ、落ち込ん....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
復し赤石に帰る。大聖寺平小屋へ十三時間、第四日、荒川より東岳へ往復し小河内を経て
三伏峠小屋へ十四時間、第五日、塩見を経て間ノ岳を極め農鳥小屋へ十五時間、第六日、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
は啼いて天主台のほとりを過ぎ、五月の風は茅渟の浦端にとどまる征衣を吹いて、兵気も
三伏の暑さに倦みはてた、とある。 過ぐる文久年度の生麦事件以上ともいうべき外国....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
化けたるよと心得て、矢比《やごろ》近くなりければ、件《くだん》の五人張に十五束|
三伏《みつぶせ》、忘るゝばかり引きしぼりて、眉間《みけん》の真中をぞ射たりける、....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
難を怖れるためか、どうかは知らないが、私は性来、水に浸る事が大嫌いである、いかに
三伏の酷暑であっても、海の風に吹かれると私の血は、腹の奥座へ逃げ込んでしまうのだ....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
う珍客に明け渡して、旅籠屋は泊の町へ引上げるくらい。賑いますのは花の時分、盛夏|
三伏の頃、唯今はもう九月中旬、秋の初で、北国は早く涼風が立ますから、これが逗留の....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
目掛けて走りかかった。 (いよいよ此奴を!)と日置正次、引きしぼり保った十三|束
三伏、柳葉の箭先に胸板を狙い、やや間近過ぎると思いながらも、兵ふっとばかり切って....
「沈黙の水平線」より 著者:牧逸馬
発見した濠洲は、眩惑を覚える程強く日光を反射している白い砂浜と、濃い椰子の影との
三伏の風景であり、大きな日傘の下に交通巡査が立って、ヘルメット白服の通行人が暑熱....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
人の従者を連れ、大原野を散歩した。その中には曽呂利新左衛門もいた。 それは中夏
三伏の頃で、熱い日光がさしていた。 と、一つの辻堂があった。縁下から二本の人間....
「西航日録」より 著者:井上円了
に山影を認む。これアンナンの南端なり。ホンコン以来、日一日より炎威相加わり、宛然
三伏を迎うるがごとし。ときどき惰気眠りを促しきたり、筆を執るにものうし。ただ終日....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
なるも、シナ海のひろき、終日一物の目に触るるなし。 茫茫支那海、唯見水連遠、満帆
三伏風、 日沈暑威減、風転晩涼従、月下船南進、雲涯是呂宋。 (ひろびろと果てしな....
「洗いづくりの世界」より 著者:北大路魯山人
共に同じようなところがある。強いて美味しいものとは言えないが、辛子味噌として盛夏
三伏の節、たまに食べるのもわるくない。また、たこの洗いづくりも似て非なるものであ....