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三和
「三和〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
三和の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
とかけた。そして拭掃除の行き届いた硝子《ガラス》張りの格子戸を開けて、黙ったまま
三和土《たたき》の上に立った。
待ち設《もう》けたよりももっと早く――園は少し....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
)という気になって自分で勘定を払おうとした。途端に、ズボンから銅貨が三十個ばかり
三和土の上へばらばらと落ちた。二銭銅貨が二個あるほかは一銭銅貨ばかりで、白銅一つ....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
う筈はなかった。 「じゃあ、下駄はどうだ?」 赤羽主任は躍起となって、番台横の
三和土を覗いてみたが、その下駄も片方すら見当らないではないか? 「一体、此の女は....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
注意を払った。丘田医師のらしい男履きの下駄が並んでいるところは、セメントで固めた
三和土だった。それは白い色が浮き上るほど、よく乾燥していた。しかし私は、その男下....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
一夕の病気ではない。想像するに腎臓《じんぞう》などの病で終ったのだろう。南禅寺霊
三和尚の慶長二年の氏郷像賛に「可惜談笑中窃置|鴆毒《ちんどく》」の句が有ったとし....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
の先のあたりに目を落した。熱い涙がポツリポツリと眼鏡にあたってはプラットホームの
三和土の上に落ちた。 「お登志さん、行きましょう」 と忘れたような安子の声を不....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ら彗星のような燈の末が、半ば開けかけた襖越、仄に玄関の畳へさす、と見ると、沓脱の
三和土を間に、暗い格子戸にぴたりと附着いて、横向きに立っていたのは、俊吉の世帯に....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
から、内々得意でいたっけが――一日、久しく御不沙汰で、台町へ機嫌伺いに出た処が、
三和土に、見馴れた二足の下駄が揃えてある。先生お出掛けらしい。玄関には下の塾から....
「氷河」より 著者:黒島伝治
語が繰りかえされた。 凍った空気を呼吸するたびに、鼻に疼痛を感じながら栗本は、
三和土にきしる病室の扉の前にきた。 扉を押すと、不意に、温かい空気にもつれあっ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
い情熱が顔一杯に露出になっていたので、――意外にも洋装の美和子の姿が、ヒョッコリ
三和土の上に微笑むと、彼は表情のやり場に困って、顔や心を冷静に引きもどすために、....
「おみな」より 著者:坂口安吾
かったよ。とっぷり夜が落ちてから漸く家に戻ってきて、重い貝の包みを無言でズシリと
三和土の上に投げだしたのを覚えている。その時、私がほんとは類の稀れな親孝行で誰に....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ノ藍見川のほとりだ。そこはヒダがミノに接するほぼマンナカでもあって、その近所には
三和もある。八阪ヒメの生れたところらしい八阪もある。昔のミノのマンナカらしいミノ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
並んだ建物は、普通の住宅と違います。どれもがっしりした二階建で、下は全部が大抵、
三和土になっていて、住いは二階です。二階は細い千本格子ですから、外はよく見えます....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
者|夥間の、しかも兄哥が、このしみったれじゃあ、あの亭主にさぞ肩身が狭かろう、と
三和土へ入ると、根岸の日蔭は、はや薄寒く、見通しの庭に薄が靡いて、秋の雲の白いの....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
。私がお送り申すから。」 すぐ傍で――いま、つい近い自動車まで、と傘を手にして
三和土へ出た娘を留めて――優しい声がすると、酒の勢で素早く格子戸を出た、そのすぐ....