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三国一
「三国一〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
三国一の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
んみやきよおみ》先生の愛女《まなむすめ》琴女《ことめ》が、その夜のたんざく流しに
三国一の花婿選みをするという評判でしたから、物見高いはいつの世も同じ江戸っ子のつ....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
て押し出す世間は広い。晴れた天下を、晴れやかに練り行くを、迷うは人の随意である。
三国一の婿《むこ》と名乗る誰彼を、迷わしてこそ、焦《じ》らしてこそ、育て上げた母....
「私の母」より 著者:堺利彦
言わせていたこともある。その歌、「高い山から谷底見れば」「摺り鉢を伏せて眺めりゃ
三国一の」などはあえて奇とするに足りないが、「芝になりたや箱根の芝に、諸国諸大名....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
な。 三島からくだり道で、沼津の町へはいりますと、 「どうだい、右に見えるのが
三国一の富士の山、左は田子の浦だ。絶景だなア!」 お壺の駕龍が千本松原へ通りか....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
者? 間もなく、佐吉のつづら笠は、あみだ沢の家々を遠く下に見て、三里の上りを、
三国一点の頂上をさしてすたすたいそいでいた。 さながら、空ゆく風――疾《はや》....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
でもなき穴掘り仕事、それも縁なら是非なしと愛に暗んで男の性質も見分ぬ長者のえせ粋
三国一の狼婿、取って安堵したと知らぬが仏様に其年なられし跡は、山林|家蔵椽の下の....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
― 斯界の最高権威となったヒルミ夫人は、一昨年ついに結婚生活に入った。 その
三国一の花婿さまは、夫人より五つ下の二十五になる若い男だった。それは或る絹織物の....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
に偽って恋をしかけ、女が靡いて灯を吹き消す時、急いで逃れたとの事じゃが、さすがは
三国一の名人の心掛だけある』と云う噂であった。 『偽にもせよ、藤十郎殿から恋をし....
「麦の芽」より 著者:徳永直
ンとして来た。ゆるんだタガが、キッチリしまって、頬冠した顔が若やいで見えた。 「
三国一の花婿もろうてナ――ヨウ」 スウスウと缺けた歯の間から鼻唄を洩らしながら....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
は躍った。そしてこういうとき、必ず慧鶴の心に富士の姿が思い出された。富士のような
三国一の高名者になろう。富士のように群峯を睥睨して聳え立とう。これまでも慧鶴は何....