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三方
「三方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
三方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
彼はしばらく返答も忘れて、まるで巣を壊《こわ》された蜜蜂《みつばち》のごとく、
三方から彼の耳を襲って来る女たちの声に驚嘆していた。が、やがて勇気を振い起すと、....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
るるまま、折戸を入ると、そんなに広いと言うではないが、谷間の一軒家と言った形で、
三方が高台の森、林に包まれた、ゆっくりした荒れた庭で、むこうに座敷の、縁が涼しく....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
出て、件の漬物屋の前を通ると、向う側がとある大構の邸の黒板塀で、この間しばらく、
三方から縁日の空が取囲んで押揺がすごとく、きらきらと星がきらめいて、それから富坂....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
奥女中)女の童、禿、五人。武士、討手、大勢。 舞台。天守の五重。左右に柱、向って
三方を廻廊下のごとく余して、一面に高く高麗べりの畳を敷く。紅の鼓の緒、処々に蝶結....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
たのであるから。――もっと深入した事は、見たまえ、ほっとした草臥れた態で、真中に
三方から取巻いた食卓の上には、茶道具の左右に、真新しい、擂粉木、および杓子となん....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
すのに、気をつけて見ますと、二つも三つも、私と一所に動きますのでございますもの。
三方に分れて彳む、三羽の烏、また打頷く。 もう可恐くなりまして、夢中で駈出しま....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
と上下は難しかろう――其処を通抜けて、北上川、衣河、名にしおう、高館の址を望む、
三方見晴しの処(ここに四阿が立って、椅子の類、木の株などが三つばかり備えてある。....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
塔の前に立並んだ、双方、膝の隠れるほど草深い。 実際、この卵塔場は荒れていた。
三方崩れかかった窪地の、どこが境というほどの杭一つあるのでなく、折朽ちた古卒都婆....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
いた。裡の薄暗いのは、上の大樹の茂りであろう。及腰ながら差覗くと、廻縁の板戸は、
三方とも一二枚ずつ鎖してない。 手を扉にかけた。 裡の、その真上に、薙刀がか....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
可いわ。」 拙者生れてより、今この年配で、人見知りはしないというのに、さらさら
三方をカーテンで囲って、 「覗いちゃ不可ません。」 何事だろうと、布目を覗く若....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
め、媼を取って突飛ばすと、人の天窓の上へ尻餅を搗いた。あれ引摺出せと講中、肩衣で
三方にお捻を積んで、ずらりと並んでいやがったが、七八人|一時に立上がる。忌々しい....
「初雪」より 著者:秋田滋
木に蔽われたその島の背を二つ見せている。 この広い入江のほとりや、カンヌの町を
三方から囲んで屹立している高い山々に沿うて、数知れず建っている白堊の別荘は、折か....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、今なお座中に横わって、墨色も鮮に、五千疋とある奉書包に集めた瞳を、人指指の尖で
三方へ突き廻し、 「誰を煽いだつもりだよ、五千疋のお使者が御紋服の旦那だと思うと....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
取り巻いた、同じ白衣の看護婦三人。宿直の姿が二階を放れて、段に沈むと、すらすらと
三方へ、三条の白布を引いて立ち別れた。その集っている間、手に、裾に、胸に、白浪の....
「活人形」より 著者:泉鏡花
り抜けて一室の内へ入り行きぬ。こは六畳ばかりの座敷にて一方に日蔽の幕を垂れたり。
三方に壁を塗りて、六尺の開戸あり。床の間は一間の板敷なるが懸軸も無く花瓶も無し。....