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「三等車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

三等車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
いっていた。その言葉が特別に園に縁遠い言葉としてかえっていつまでも耳底に残った。三等車の中央部にあるまん丸な鋳鉄製のストーブは真赤に熱して、そのまわりには遠くか....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
ズキズキと膿み出している自尊心のはけ口のない膿を、持て余したまま、踵をかえすと、三等車との間のドアをあけて、デッキへ出た。そして、デッキのドアをあけて、吹きこむ....
三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
るのであった。そして、よく気をつけてみると、必らずその急行列車の前部に連結された三等車の、前から三輛目の車から降りて来るのであった。しかも、いつでもその婦人客達....
五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
も早い奴とずぶとい奴が席を奪っている。社会の平等を叫ぶ一派の社会主義は、よろしく三等車の席を平等に腰かけられる工夫をして貰いたい。それでもやっと腰を下ろした。小....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
を申し述べたのであるが、車掌と憲兵とは、それを実行しようとも何とも言わずに、彼を三等車の隅っこに押しこんで、附近の乗客に、彼を監視しているように命じた。 こう....
香水紳士」より 著者:大阪圭吉
のだった。 東京駅発午前八時二十五分の、伊東行の普通列車である。 その列車の三等車の、片隅の座席に、クルミさんは固くなって座っているのだ。 日曜日で、客車....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
urg, Ulm を経て Stuttgart の方へ行く急行列車である。僕はその三等車内にいて気を落付けている。今朝、宿の媼 Hillenbrand が六時に僕....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
十分に旅費をつくってくれ、新しい着物や肌着類までも調えてくれた。しかし、彼はぜひ三等車に乗りたいからと言って、その金も半分は返してしまった。この町へ着いた時、『....
轢死人」より 著者:豊島与志雄
て覗いた。私も窓を明けて外を覗いた。一二粒の雨に冷りと頬を打たれた。見ると、次の三等車の窓には乗客の顔がずらりと並んでいた。でもまだ何のことだか分らなかった。 ....
作家的思想」より 著者:豊島与志雄
易に見わけがつかなかった。旅客の中には外国帰りの人も交っていたが、それよりは寧ろ三等車の方がずっと込んでいた。この方の旅客はいずれも程遠からぬところからやって来....
風俗時評」より 著者:豊島与志雄
八時か九時頃に発車する神戸行とか下関行とかの、急行列車をとってみるがよい。そして三等車よりも二等車が最もよい。 これらの列車は、いつも乗客がこんでいる。然るに....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
る駅で、反対の方から来た列車が待っていた。ちょうど自分の正面に止まってる車室――三等車の中に、クリストフは、ハムレットの芝居でいっしょになったあの若いフランスの....
投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
とる」 「一等車にはいませんわ。一番前の二等車にも、いませんが。なんぞ、はからん三等車の隅に、マスクをかけて顔をかくしていやがるよ。さッきの服装を見とったから、....
父の葬式」より 著者:葛西善蔵
ぶん暑かった」 「そうだったなあ……」 ヘンに目立つような真四角な風呂敷包みを三等車の網棚に載せて、その下の窓ぎわに腰かけながら、私たちはこう囁き合ったりした....
日本のこころ」より 著者:中谷宇吉郎
かったであろう。それよりも『三四郎』の方が、面白かった。ごとごととのろい北海道の三等車の中で、紺絣のエリセーフ君は、夢中になって、『三四郎』に読みふけっていた。....