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三角波
「三角波〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
三角波の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
横に吹きまく風が、思いのままに海をひっぱたくので、つるし上げられるように高まった
三角波が互いに競って取っ組み合うと、取っ組み合っただけの波はたちまちまっ白な泡の....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
海は思ったよりもうねりが高かった。急に吹き始めた強い南風に先の尖った小さな無数の
三角波を乗せて、深谷邸のある岬の方へむくむくと押しかけて行く。堪えられないほど陰....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
が強い風にすぐちぎり取られて、意味のない叫び声のように聞こえた。 もう海一面、
三角波の頂きが白いしぶきだった。にわかに底潮の流れが早くなってくる。船が横に身体....
「焦点を合せる」より 著者:夢野久作
ンペン船だからね。金儲けなら支那軍に売渡す鉄砲でも積込むんだ。怖いのは南支那海の
三角波だけだよ。ハハハハ……。ナニ? 船賃? そんなもなあ要らないよ。王君がそう....
「幽霊と推進機」より 著者:夢野久作
一息に嚥み下しながら、寝台に頭を突込んだ。夕食は無論喰わなかった。 南支那海の
三角波というのは、チョウド風呂敷を下から突き上げるような恰好に動くものだそうで、....
「父杉山茂丸を語る」より 著者:夢野久作
相当水泳が上手であったらしい。那珂川の洲口といえば、今でも海水、河水の交会する、
三角波の重畳した難コースで、岸の上から見てもゾッとするのに、負ぶさってる私は怖く....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
ジャーナリズムの消耗にまかせられている。 私たち日本の婦人作家は、嶮しい歴史の
三角波を、一人一人の楫につけつつ、しかもやっぱり、ひたむきに文学の仕事をつづけて....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
た。陸から漕いで来た僕の|はしけは梯子の下に結び着けてある。それがテイジョ河口の
三角波に擽られて忍び笑いしていた。 ――God damn! LO! 国際的|....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
口が大きくないけれど、扇形にひろがった感じの題ね。 太平洋の波もピンチながら、
三角波を立てているというところでしょうね。ルーズヴェルトの一日というのがあって(....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
に響いてくる。 船首は、南々西に向っている。速力は十四、五|節はあろう。北洋の
三角波を、痛快に破って快走をつづけた。みると、置去りを食った海賊たちは、端艇のう....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
てきて、あとからあとから、間隔をおいておしよせる波と、ぶつかり、ごったがえして、
三角波となり、たけりくるっている。そこへまた、どっとよせてくる大うねり。すべてが....
「予言」より 著者:久生十蘭
こへ詮じつけた。 地中海へ入ると、急に温度が下った。海の形相がすっかり変って、
三角波が白い波の穂を飛ばし、ミストラル気味の寒い尖った風が、四十日目の惰気をいっ....