上がり框[語句情報] » 上がり框

「上がり框〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上がり框の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
、吉田は突然その娘の母親が死んでしまったことを聞いた。それはそのお婆さんがある日上がり框《かまち》から座敷の長火鉢の方へあがって行きかけたまま脳溢血《のういっけ....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
絹をなだめようとすると、お絹は解けかかった水色の細紐《しごき》を長く曳きながら、上がり框《がまち》へくずれるように腰をおとした。 「寝衣《ねまき》のまんまでこん....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
心してそう教えたのであった。すこし酔っているらしい男は礼を云って隣りへはいって、上がり框《がまち》に腰かけているらしかったが、そのうちに三味線をぽつんぽつんと弾....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
はいますよ。こっちへおはいんなせえ」 「朝っぱらからお邪魔をします」と、七兵衛は上がり框に腰をかけた。「勘次さんというのはお前だね。話は早えがいい。おれは葺屋町....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
こっちへあがって話しなせえ」 「いえ、落ち着いちゃあいられないんです」と、与七は上がり框に腰をおろしながら口早にささやいた。「ゆうべの引け四ツから、けさの七ツ(....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
けると、彼女は振り返ったが、いくらか狼狽気味で顔を紅くした。そして籐のステッキを上がり框に立てかけて、ずかずか上がろうとする庸三に、そっと首をふって見せたが、立....
銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
ふけて人通りのまばらになった表の通りには木枯らしが吹いていた。黒光りのする店先の上がり框に腰を掛けた五十歳の父は、猟虎の毛皮の襟のついたマントを着ていたようであ....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
り合いにおいでなされたと?」 多四郎は愛想よく笑いながら山吹の側へやって来たが上がり框へ腰を下ろした。 山吹は何んとなく狼狽して思わず顔を赤らめたりしたが、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に待っています」 隣りのおかみさんに一応ことわって、半七は格子の中へはいった。上がり框に腰をかけて煙草を一服すっているうちに、かれはふと思い付いて、そっと入口....
丹下左膳」より 著者:林不忘
、その、恐怖と狼狽にみちたようすを、お藤姐御は、両手をだらしなく帯へ突っこんで、上がり框《かまち》の柱にもたれたまま、じっと見おろしているんです。 「太え餓鬼で....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
そこで私たち三人の者は、駕籠をその場へ舁き据えたまま、土間の中へはいって行き、上がり框へ腰をかけました。 と、この茶屋の娘らしい女が、茶をついだ湯呑みを盆に....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
が少しく据わっている。しかし姿勢は崩れていない。背後に奥の部屋へ通って行かれる、上がり框の障子を背負い、右手に料理場の暖簾口を持ち、正面に外への出入り口を控えた....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
た主人《あるじ》や番頭が、ひそひそ話し合っている。やくざ者らしい風俗の男たちが、上がり框《がまち》に腰かけて、真っ赤な顔をして、何かしきりに弁じ立てていたりする....
探巣遅日」より 著者:佐藤垢石
につくりはじめるかなとそれを捜すのに興味を持ったのだ。学校から帰ってくると、鞄を上がり框へ放り出しておいて、裏の篠や鎮守の林、寺の裏の椿の木などへ走って行って、....
鬼退治」より 著者:下村千秋
も雨は漏り、畳は腐り、天井には穴があき、そこら中がかびくさかった。勘太郎は土間の上がり框のところにある囲炉裏の所へ行ってみた。と、自在鉤の掛かっている下には、つ....