上げず[語句情報] » 上げず

「上げず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上げずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
おい》の侍で、これは万一平太夫が御文に無礼でも働いてはならないと、若殿様にも申し上げず、見え隠れにあの老爺《おやじ》の跡をつけたのでございます。 二人の間はお....
煙管」より 著者:芥川竜之介
《もんつき》の羽織を着た坊主が一人、恭《うやうや》しく、彼の前へ這って出た。顔を上げずにいるので、誰だかまだわからない。――斉広は、何か用が出来たのかと思ったの....
或る女」より 著者:有島武郎
にあてる湿布《しっぷ》を縫っている愛子のほうにも振り向いた。うなだれた愛子は顔も上げず返事もしなかったから、どんな様子を顔に見せたかを知る由はなかったが、岡は羞....
婦系図」より 著者:泉鏡花
「お礼を申上げます。」 と作法正しく、手を支いたが、柳の髪の品の佳さ。頭も得上げず、声が曇って、 「どうぞ、此金で、苦界が抜けられますように。」 その時お....
銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
部屋を覗きみた。そしてその部屋の真中に澄子が倒れているのをみつけるとそのまま声も上げずに転ぶようにして階下へ駈けおり、表の戸をコジあけるようにして人々に急を訴え....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
を欠くからには「空き家」である。それは「不完全崇拝」にささげられ、故意に何かを仕上げずにおいて、想像の働きにこれを完成させるからには「数奇家」である。茶道の理想....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
は騒ぎでございましてね、はい、はい、はい。」 で手を揉み手を揉み、正面には顔を上げずに、ひょこひょこして言う。この古女房は、くたびれた藍色の半纏に、茶の着もの....
黒百合」より 著者:泉鏡花
した、その事をいって聞かせると、なおのことそのお情に預っては、きっと取って来て差上げずにはと、留めるのも肯かないで行ったといいます。 ええ、何の知事様から下さ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の姿を見ることはできぬのじゃ……。が、折角の依みとあって見れば何とか便宜を図って上げずばなるまい。兎も角も母人を瀑壺のところへ連れてまいるがよかろう……。』 ....
或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
なって、わたくしは気味も悪いし、奥さまのお妨げになってもいけないと思ったので、申上げずにいましたが、頻りに焦慮る様子を見ると、どうも覚束ない様子でございますねえ....
おびとき」より 著者:犬田卯
取っかかるのがまた容易でない。しかし女房から頭ごなしにされると、何としても御輿を上げずにはいられなかった。 「米糠三升持ったら何とかって昔の人はよくいったもんだ....
」より 著者:犬田卯
なし。」 「異議なし」とみんなが言った。 打ちのめされた田辺村議は、しばし顔を上げず、蒼白な薄ぺらい唇をわなわなと震わせていた。 それから一週間ばかりたった....
旅への誘い」より 著者:織田作之助
人」の書物は、僕のかたみとして受け取って下さい。永い間住所も知らせず、手紙も差し上げず、怒っていらっしゃることと思いますが、そのお詫びかたがたお便りしました。僕....
紅すずめ」より 著者:小川未明
、また、真っ暗な深い谷底に落ちてゆくようだ。どうして、それをだれも昔のように引き上げずとも、ひとりでに、朝になると上るのだろう。それが不思議でならない。」と、す....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
ら、智恵子を死ぬほど苦しめるような事もなかったでしょうし、弟をあんな悪者につくり上げずともすんだのでしょう。一旦死んだ人間が生きているという事が抑も間違いの原因....