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上せる
「上せる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上せるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖術」より 著者:泉鏡花
気模様が察しられる。 日中は梅の香も女の袖も、ほんのりと暖かく、襟巻ではちと逆
上せるくらいだけれど、晩になると、柳の風に、黒髪がひやひやと身に染む頃。もうちと....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
あります。徹夜にての骸骨との接吻の連続数々、此上は仕方がない、自分の身を絞首台に
上せる外途はない。自身を殺して妻子を助けてやろうと、それから大決心をして茲に私は....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
のですか」 幸「なに、人込へ出ると毎でも血の道が発って困るのさ」 兼「矢張逆
上せるので、もっと水を上げましょうか」 幸「もう治りました、早く帰って休んだ方....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
き出すかと思われるような温暖い空気に香って、夜遊び一つしたことのない半蔵の心を逆
上せるばかりにした。彼は知らない世界にでもはいって行く思いで、若さとおそろしさの....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
六 「相違ない、これじゃ。」 あの怪しげな烏瓜を、坂の上の藪から提灯、逆
上せるほどな日向に突出す、痩せた頬の片靨は気味が悪い。 そこで、坂を下りるのか....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
一 「今のは、」 初阪ものの赤毛布、という処を、十月の半ば過ぎ、小春凪で、ちと逆
上せるほどな暖かさに、下着さえ襲ねて重し、野暮な縞も隠されず、頬被りがわりの鳥打....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
わが銃をなげ捨てて、わが友の応援に馳せむかいぬ。われはただ漠然と、彼はおそらく逆
上せるか、あるいは痙攣を発せるならんと想像せるなり。しかもわが走り着く前に、彼は....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
員総上陸の点検の上、物資は物資でこれを大別して、船に残すべきものと、陸上に持って
上せるべきものとし、とりあえず衣食住を保証すべき物資と、その用具の取揃えにかかり....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
スの徒弟どもは、極端に放縦無規律なるしれものである。曰く彼等は、赤児を殺し食膳に
上せる鬼どもである。今日から顧れば、殆ど正気の沙汰とは受取れぬような悪声が、彼等....
「郊外」より 著者:国木田独歩
ねッからお話になんねエ、十七、八の新造と来なきゃア、そうよそろそろ暑くなるから逆
上せるかもしんねエ。』と大きな声で言うのは『踏切の八百屋』である。 『そうよ懐が....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いて、理由もないのに嘆くようになった。それが一種の病癖となった。そして何度も口に
上せるために、しまいにはそれをほんとうと思い込んだ。ちょっとした風邪《かぜ》をも....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
子供のように恥ずかしがった。けれども彼らにはそれだけで満足だった。おずおずと口に
上せるグルックやモーツァルトやベートーヴェンなどが、二人にとっては友となった。二....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
る。お菊もお仙も虫干の時に箱に入れられたその皿を取扱ったことはあるが、料理の膳に
上せるのは今夜が初めてであった。その皿に就いて、かの怖ろしい伝説や、厳しい掟のあ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
なくてもよいという考えを起す人間もありましょう。けれどもまあ大抵そんな事を口先に
上せる者もない。
既にチベットの婦女子の事について述べた時分に、婦女子は自分の....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
った。余剰は貯蔵させるが、遠国は力めてその大部分を交易に宛てしめ、軽物にして京へ
上せるようにする。是があの時代の地方財政法であった。一種の農業倉庫であったが、動....