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「上の空〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上の空の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
口をきかない。しんとした夜は、ただ馬蹄《ばてい》の響きにこだまをかえして、二人の上の空には涼しい天の川がかかっている。 八 羅生門《らしょう....
羅生門」より 著者:芥川竜之介
く輪を描いて、高い鴟尾《しび》のまわりを啼きながら、飛びまわっている。ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻《ごま》をまいたようにはっきり見え....
路上」より 著者:芥川竜之介
歩いて行く彼の心には、夕日の光を受けながら、しかも夕日の色に染まっていない、頭の上の空のような、微妙な喜びが流れていた。……… その空が全く暗くなった頃、彼は....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
はずぶ濡れになりながら、未《いまだ》に汀《なぎさ》の砂を去らなかった。彼の心は頭上の空より、さらに晦濛《かいもう》の底へ沈んでいた。そこには穢《けが》れ果てた自....
将軍」より 著者:芥川竜之介
。」 堀尾一等卒は空を見上げた。その拍子《ひょうし》に長い叫び声が、もう一度頭上の空気を裂《さ》いた。彼は思わず首を縮《ちぢ》めながら、砂埃《すなほこり》の立....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
た。土の赤いテニス・コオトには武官教官が何人か、熱心に勝負を争っている。コオトの上の空間は絶えず何かを破裂させる。同時にネットの右や左へ薄白《うすじろ》い直線を....
星座」より 著者:有島武郎
なかった。いいたいことは山ほどあるのだが、書生さん相手では、婆やのいうことなどは上の空に聞き流されるのだから腹が立つばかりだった。誰かに聞いてもらいたいと思って....
婦系図」より 著者:泉鏡花
草を持った手の尖がぶるぶると震えると、対手の河野は一向気にも留めない様子で、ただ上の空で聞いて首だけ垂れていたが、かえって襖の外で、思わずはらはらと落涙したのは....
海異記」より 著者:泉鏡花
飯櫃を引寄せて、及腰に手桶から水を結び、効々しゅう、嬰児を腕に抱いたまま、手許も上の空で覚束なく、三ツばかり握飯。 潮風で漆の乾びた、板昆布を折ったような、折....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、船の夢の、燈台と力にしつつ、手を遣ると、……柄杓に障らぬ。 気にもせず、なお上の空で、冷たく瀬戸ものの縁を撫でて、手をのばして、向うまで辷らしたが、指にかか....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
は白っぽい、幾分ふわふわしたもので、そして普通は裸体でございます。それが肉体の真上の空中に、同じ姿勢で横臥している光景は、決してあまり見よいものではございませぬ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
う飛行機に乗っている人は高空の空気ばかり吸っているものだから、だんだんこの地面の上の空気に堪えられないようになってしまうのだって。……」 妻の母の家を後ろにし....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
おって浮いていました。さて人間の住む地球は、大きな赤黒い火の玉のように、あたまの上の空にぶら下がっていました。 *ドイツの天文学者 夜番はまもなく、たくさんの....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
。地平線は金色に光っていたが、やがてすっきりしたうす緑色になり、それからさらに頭上の空を染める様な濃紺に変っていった。斜めになった陽の光は、河岸のあちこちにそば....
活人形」より 著者:泉鏡花
ば、ひらりとはずして遁出すを、遣らじものを。とこの度は洋燈を片手に追懸けて、気も上の空何やらむ足に躓き怪し飛びて、火影に見ればこはいかに、お藤を連れて身を隠せし....