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「上り列車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上り列車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お時儀」より 著者:芥川竜之介
かまで、一度も遇ったと云う記憶はない。午前もお嬢さんの乗る汽車は保吉には縁のない上り列車である。 お嬢さんは十六か十七であろう。いつも銀鼠《ぎんねずみ》の洋服....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
夜の事である。当時大学の学生だった本間さんは、午後九時何分かに京都を発した急行の上り列車の食堂で、白葡萄酒《しろぶどうしゅ》のコップを前にしながら、ぼんやりM・....
初秋の一日」より 著者:夏目漱石
ットフォームの上には雨合羽《あまがっぱ》を着た五六の西洋人と日本人が七時二十分の上り列車を待つべく無言のまま徘徊《はいかい》していた。 御大葬と乃木大将の記事....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
たD50・444号は、定刻の午前五時三十分に、霜よりも白い廃汽を吐き出しながら、上り列車としてH駅の貨物ホームに到着しました。 で、早速ホームでは車掌、貨物掛....
青服の男」より 著者:甲賀三郎
下り列車で、鳶色の服を着た信造らしい青年が下車した。それから同日の午後六時三分発上り列車の発車間際に、やはり鳶色の服を着た信造らしい青年が駆けつけて来て、アタフ....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
コンクリートの橋の下にそれと並行して下流の鉄道の鉄橋が見え、おりから通りかかった上り列車が玩具の汽車ででもあるように思われた。 今までいっこう聞いたこともない....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
三人の影法師は相並んで道べの草に曳きつつ伊香保の片に行きぬ。 午後三時高崎発上り列車の中等室のかたすみに、人なきを幸い、靴ばきのまま腰掛けの上に足さしのばし....
途上の犯人」より 著者:浜尾四郎
、おとといお前がどこに居たか、はっきり云えないとお前が危いんだぜ。おとといの朝、上り列車にのった事は判って居るのだ。どこに行っていたのだね。僕等が知りたいのはそ....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
《あばらや》同然の二階。裸電気の下で、母と私ははだかになって涼む。燈火の賑やかな上り列車が走って行く。羨《うらや》ましい。 どうしても東京へ行きたいのだけれど....
歯車」より 著者:芥川竜之介
奥の避暑地から自動車を飛ばした。自動車の走る道の両がわは大抵松ばかり茂っていた。上り列車に間に合うかどうかは可也怪しいのに違いなかった。自動車には丁度僕の外に或....
沼のほとり」より 著者:豊島与志雄
きました。けれどまだ、多くの者が、立ち話をしたり、腰掛にもたれたりしていました。上り列車が来ました。超満員の客車は、切符を持ってる少数の人々を更に吸収して、夕闇....
青玉の十字架」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
にしても、小さい方はたしかにその正体に間違いはなかった。それはハーウィッチからの上り列車に乗り合わせたエセックスから出て来た田舎僧侶だった。そいつには彼が茶色の....
光は影を」より 著者:岸田国士
が、青空の光を吸つて、霧のなかに消えている。 汽笛がかすかに響く。玩具のような上り列車が、いま小諸の駅へすべり込んだ。小萩の心は、いらだたしく東京へ飛び、急に....
深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
ている。その頃わたしは門司支店に勤めていて、八月下旬の暑い日の午前に、神戸行きの上り列車に乗っていた。社用でゆうべは広島に一泊して、きょうは早朝に広島駅を出発し....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
れでもかまわぬとは申されぬ。東京行きでなければ東京へは行きませぬ。東京行きでない上り列車にうっかり乗りこんで、その中で、いかにあなたが車内道徳を正しく守っていて....