上り口[語句情報] » 上り口

「上り口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上り口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
《けんぞう》は、夏外套《なつがいとう》をひっかけたまま、うす暗い梯子《はしご》の上り口へ胸まで覗《のぞ》かせているだけだった。 「どうもお律《りつ》の容態《よう....
路上」より 著者:芥川竜之介
今まで俊助の足下《あしもと》に寝ころんでいた黒犬は、この時急に身を起すと、階段の上り口を睨《にら》みながら、凄《すさま》じい声で唸《うな》り出した。犬の気色《け....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
まとっていたそうです。現に午過ぎの三時頃には、確かに二階の梯子段《はしごだん》の上り口に、誰か蹲《うずくま》っているものがあって、その視線が葭戸越《よしどご》し....
星座」より 著者:有島武郎
いて立ったなりで飯を喰っていた。湯づけにでもしていたのだろう、それをかっこむ音が上り口からよくきこえた。東京にこんなことをやって生きている人間があろうとは俺は思....
婦系図」より 著者:泉鏡花
え、河野様が御自分の、と聞いて、まあ、と呆れたように莞爾して、忍んで段を上って、上り口の次の室の三畳へ、欄干を擦って抜足で、両方へ開けた襖の蔭へ入ったのを、両人....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
なくセミオン会社所有の小蒸汽の汽笛だ。「来たな」と思うと胸は穏かでない。船階子の上り口には労働者が十四五人群がって船の着くのを見守って居た。 私の好奇心は我慢....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ば逸話に伝えられよう。 低い山かと見た、樹立の繁った高い公園の下へ出ると、坂の上り口に社があった。 宮も大きく、境内も広かった。が、砂浜に鳥居を立てたようで....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
。」と胡桃の砂糖煮。台十能に火を持って来たのを、ここの火鉢と、もう一つ。……段の上り口の傍に、水屋のような三畳があって、瓶掛、茶道具の類が置いてある。そこの火鉢....
女客」より 著者:泉鏡花
を横に、蔽うた燈を離れたので、玉ぼやを透かした薄あかりに、くっきり描き出された、上り口の半身は、雲の絶間の青柳見るよう、髪も容もすっきりした中年増。 これはあ....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
など、五六本の樹立あり。沓脱は大戸を明けて、直ぐその通庭なる土間の一端にありて、上り口は拭き込みたる板敷なり。これに続ける六畳は、店と奥との中の間にて、土地の方....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
らとさして、女中が出そうにしましたから、 (光かい、光や、) と呼んで、二階の上り口へ来ましたのを、押留めるように、床の中から、 (何んだね、) と自分でも....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
わ、菎蒻はんのようどすな。」 もう一口。 「あの、これから場所へいうて、二階の上り口へ出ましたやろ。下に大きな人大勢やよって、ちょっと立留まって覗くようにする....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
もみじを散して、青空に透通る。鐘は高く竜頭に薄霧を捲いて掛った。 清水から一坂上り口に、薪、漬もの桶、石臼なんどを投遣りにした物置の破納屋が、炭焼小屋に見える....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
方は、ぐっと崖に窪んで、じとじとした一面の茗荷畑。水溜には杜若が咲いていました。上り口をちょっと入った処に、茶の詰襟の服で、護謨のぼろ靴を穿いて、ぐたぐたのパナ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
と恐縮をしたように打笑い、 (どうだ親方、ちっと粋なのを世話しないか。) と上り口で振返って、爽に階下へおりた。すぐ上って来るだろうと思うと、やがて格子戸が....