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「上出来〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上出来の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
なンかおすかいな」 あっては困る春隆のはらを、むろん女中は見ぬいていて、これは上出来だったが、余り心得すぎて、春隆がだんだんに陽子をひきとめる技巧を使おうと思....
檸檬」より 著者:梶井基次郎
心を制しながら、その城壁の頂きに恐る恐る檸檬《れもん》を据えつけた。そしてそれは上出来だった。 見わたすと、その檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそり....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
らず、紀代子は哀願的になった。 「あんたが早よ歩いたらよろしいねん」 (こいつは上出来の文句だ)と豹一は微笑んだ。紀代子はむっとして、 「あんた女の子と歩く術も....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
最大の努力を払って本事件の実相を掘りあて、刻々報道したいと思う”なるほど、これは上出来だ」 「ほめるのは後にして、大いにこき下ろして貰おう」 ドレゴは、洟《は....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
かして来たんじゃあ、あんまり手柄にもならねえが……。ひょろ松、まあ手前にしちゃあ上出来のほうだ。おとなしそうに見えていても、旦那取りをするような女じゃあ、ほかに....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
ころ、幸運にも宝石が指先にかかったのであった。素人にしては、まことに水ぎわ立った上出来の芸当だった。後から闖入して屍体を奪っていった痣蟹をみすみす見逃がしたのも....
画の悲み」より 著者:国木田独歩
画必ずしも能く出来ていない時でも校長をはじめ衆人がこれを激賞し、自分の画は確かに上出来であっても、さまで賞めてくれ手のないことである。少年ながらも自分は人気とい....
奇賊悲願」より 著者:海野十三
けるなんてことは、野蛮にして下劣、最も罪が重いんだからね」 「兄貴の智慧にしちゃ上出来だ」 「いや、この芝居はおれが書いたんじゃなくて、ここにお出でなさる名探偵....
家なき子」より 著者:楠山正雄
いまのどうしていいかわからずに困っている心持ちを忘れないようにしてやれば、いつも上出来だよ。つまり役の性根は、さると人間が、主人と家来と身分を取りかえたついでに....
孔乙己」より 著者:井上紅梅
囘の字だ」 孔乙己は俄に元気づき、爪先きで櫃台を弾きながら大きくうなずいて 「上出来上出来。じゃ茴の字に四つの書き方があるのを知っているか」 彼は指先を酒....
北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
心持ちで融川は布へ筆を揮った。童子採柿の図柄である。雄渾の筆法閑素の構図。意外に上出来なところから融川は得意で北斎にいった。 「中島、お前どう思うな?」 「はい....
博物誌」より 著者:岸田国士
い」 Le Ver こいつはまた精いっぱい伸びをして、長々と寝そべっている――上出来の卵饂飩のように。 Le Serpent 長すぎる。 La Couleu....
愚かな男の話」より 著者:岡本かの子
「或ところに愚な男があった。知人が家屋を新築したというので拝見に出かけた。普請は上出来で、何処も彼処も感心した中に特に壁の塗りの出来栄えが目に止まった。そこで男....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
説として春陽堂から発行したものを更にみずから脚色したもので、居士の作中ではあまり上出来の物とも思われなかったが、団十郎の大口屋暁雨や八百蔵の釣鐘庄兵衛などが大好....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
り、皮膚さえ匂わしく感じられるのです。 仕事はどんな出来でも、自分には、これ以上出来ないのです。これ以下にも出来ないのです。 庭の景色が晩秋の午前の陽を受け....