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上塗
「上塗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上塗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
れることの出来ない罪を背負っている以上、なまじいに逃げ隠れをして捕われるのは恥の
上塗《うわぬ》りである。兄が弟の仇を討たぬというならば、自分はいさぎよく自滅する....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
ものです。藤崎さんも今となっては後悔のほかはありません。万一これが露顕しては恥の
上塗りであるから、いっそ今のうちに切腹しようかとも思ったのですが、先ず兎もかくも....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
たに対しては何とも相済みません、若江は亡られた親御の恩命に背き、不孝の上の不孝の
上塗をせんければならず、拙者は何処へも往き所はないが、男一人の身の上だから、何処....
「骸骨館」より 著者:海野十三
るのだった。 それにこの荒れはてた工場については、数箇月前のことであるが、恥の
上塗りのようなかんばしくない事件がおこった。それはこの工場に隠匿物資があるはずだ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
。 先ず先生がおおよその着想と構図とを与え、下塗り中塗りは大勢の弟子にまかせ、
上塗りでさえも大勢の弟子たちがやる事は普通の事とさえされていた事さえあるらしいの....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
ボーイに雇いたいと言ってきました。うっかり応じたら、私はまた新聞種になって、恥を
上塗ったところでしたが、さすがに応じなかった。ある女は結婚したいと手紙を寄越した....
「光は影を」より 著者:岸田国士
いんだ。実際、ひと思いに自決するぐらいのことは、なんでもない。しかし、それも恥の
上塗りだと思うと、つい、心が臆して、今日まで断行できなかつた。いや、お前にも、い....
「多神教」より 著者:泉鏡花
、おのれは、ここだくの邪淫を侵す。言うまでもない、人の妾となって汚れた身を、鏝塗
上塗に汚しおる。あまつさえ、身のほどを弁えずして、百四、五十里、二百里近く離れた....
「名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
昧宿に、臨検におびえながら出入りする白い首が闇にうごめくだけではたゞもう淋しさの
上塗りをするだけである。 スケツチでなくて何だか懐旧談のやうになつてしまつた。....
「久保田米斎君の思い出」より 著者:岡本綺堂
は珍しくないそうです。ただその場合に道具の色が変ったりするから、あまり長くなれば
上塗をする。まことに簡単とも簡便とも申しようがない。それですから外国の幕間は五分....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
天井裏には煤埃りが真黒く下って、柱も梁も敷板も、鉄かとも思われるほど煤けている。
上塗りのしてない粗壁は割れたり落ちたりして、外の明りが自由に通っている。 「狐か....
「城」より 著者:カフカフランツ
家も石でつくられているということによってきわだって見えるだけだった。だが、家々の
上塗りもずっと前にはげ落ち、石はぼろぼろとくずれ落ちそうに見えた。Kはふと、自分....
「審判」より 著者:カフカフランツ
小さな天窓によってほかの階段とはちがって比較的明るく照らし出されているこの扉は、
上塗りのしてない角材で組み上げられ、その上にはティトレリという名前が赤い色で肉太....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
代の奴と来ては余り烈し過ぎる。
なんでもこんなのは新しい見方で見て、
いろいろに
上塗をしなくてはいけない。
厭な人種だ。だがこっちは新参として、
挨拶だけは丁寧....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
かもあとでペンキ屋がごていねいにも、私の字のままに塗ったものだから、文字通り恥の
上塗りである。だから私の珍妙な字はかなり長い間、そこにさらし物になっていた。 ....