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「上客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上客の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
子という女は、めったに客の悪口をいったことがなかった。自分の店へ来る客はいわゆる上客ばかしだというのが、貴子の自慢で、パトロンの章三にはとくにそれを誇張していた....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
た金の茶釜が掃く程もあるのに、目の高かるべき筈の客引き共が、この折紙つきの由々敷上客を見逃すというのは、まことに不思議と言わねばならないことでしたから、退屈男は....
連環記」より 著者:幸田露伴
て見えたので、彼土の人々も流石に神州の高徳と崇敬したのであった。で、知礼は寂照を上客として礼遇し、天子は寂照を延見せらるるに至った。宋主が寂照を見たまうに及びて....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
舎の媽々の肩手拭で、引端折りの蕎麦きり色、草刈籠のきりだめから、へぎ盆に取って、上客からずらりと席順に配って歩行いて、「くいなせえましょう。」と野良声を出したの....
死体の匂い」より 著者:田中貢太郎
った間に、妻や子供を外へ出さなくてはならないという考えの方へ気を取られて、それ以上客のことを考えることができなかった。その客は私のいない間に簷から飛んで右の足首....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
寄る者は、伊勢平氏の後胤か、北畠殿の落武者か、お杉お玉の親類の筈を、思いもかけぬ上客一|人、引手夥多の彼処を抜けて、目の寄る前途へ行き抜けもせず、立寄ってくれた....
黒百合」より 著者:泉鏡花
丁義作続いて島野まで、長いものに巻かれた形で、一群になって。米は鍵屋あって以来の上客を得た上に、当の敵の蔵屋の分二名まで取込んだ得意想うべく、わざと後を圧えて、....
星女郎」より 著者:泉鏡花
処まで、店口から掛けて、以前、上下の草鞋穿きが休んだ処で、それから先は車を下りた上客が、毛氈の上へあがった場処です。 余計なことを言うようですが、後の都合があ....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
の方へ自宅を移して、タヌキ屋の外に自宅営業、もつぱらパンパンと共同戦線で、特別の上客に限つてホテル兼料理屋、その代りパンパンには昼食をサービスしたり、アブレた時....
孔乙己」より 著者:井上紅梅
口の咸享酒店の小僧になった。番頭さんの被仰るには、こいつは、見掛けが野呂間だから上客の側へは出せない。店先の仕事をさせよう。店先の袢天著は取付き易いが、わけのわ....
曽我の暴れん坊」より 著者:坂口安吾
の旅館も兼ね、料理屋女郎屋も兼ね、今の特飲店のようなもの。そこの娘も白拍子にでて上客に身をまかせるのは古来からの習いで、大磯の長者もその娘ざかりのころ伏見の大納....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
リにはかからない。 その上、商法上のカンと要領が生れながらに発達しているから、上客を知りわけてサービスよろしく可愛がられるコツも心得ており、よその流しアンマの....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
出入りの商人に卸値で勉強させるけれども、小下宿屋は割合にこの仕入が高くなる。その上客に倒されることもあり、また部屋もいつもあき間の一つや二つはあることを覚悟しな....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
太夫も少しあっけに取られていると、播磨は又静かにいった。 「今夕の来客は水野殿を上客としてほかに七人、主人をあわせて丁度九人だ。皿は一枚欠けても差支えない」 「....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
少しく頭上よりも北天に懸かるを見る。熱帯に入りて賦したる詩歌各一首あり。 大西洋上客舟軽、遥向幾回傾。 (大西洋上に客船の足も速く、はるかに太陽の直下に向かって....