上層[語句情報] »
上層
「上層〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上層の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
りも感じなかった。が、纔《わず》かに彼の知った上流階級の青年には、――時には中流
上層階級の青年にも妙に他人らしい憎悪を感じた。彼等の或ものは怠惰だった。彼等の或....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
を着て、井戸――といっても味噌樽《みそだる》を埋めたのに赤※《あかさび》の浮いた
上層水《うわみず》が四分目ほど溜ってる――の所でアネチョコといい慣わされた舶来の....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
く堪《たま》らない生気が発散していて、その瘴気《しょうき》のようなものが、草原の
上層一帯を覆いつくし、そこを匂いの幕のように鎖していた。しかし、ここになによりま....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
座とはなりぬ。 (注一) エレボス。原始の闇、陰影の領土。 (注二) エーテル。
上層の純粋な天の気、後に宇宙エーテルとして、火、空気、土、水の外の第五の元素とさ....
「海底大陸」より 著者:海野十三
あみおろせエ」 ザンブと、大きなあみは船尾から海中に投げこまれた。黒山のように
上層の甲板に集まって見物していた船客たちは、一度に手をたたいた。 「見える、見え....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
れ、ちょうど人の立って歩けるぐらいの高さで、大広間の空気を上下の層に分っている。
上層は昼のように明るく、床に近い下層の一面の灰紫色の黄昏のような圏内は、五人或は....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
くで、様々の色の縞が雑然と配列しているにすぎなかった。それから、階段廊を離れて、
上層の階段を上って行ったが、その時何を思いついたのか、法水は突然|奇異な動作を始....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
問い返そうとした時、階段を上る跫音が聞えたのであった。しかしもうその時には、塔の
上層に黎明が始まっていて、鐘群の輪郭が暈っと朧気に現われて来た。 「上の小鐘は暗....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
される以前、三世紀から七世紀にかけてササン王朝時代に用いられていた言葉で、その後
上層階級には忘れ去られ、わずかに下層の国民大衆の間に語りつがれていた。 134ム....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ように遠く、深い。ここに、突当りに切組んで、二段ばかり目に映る階段を望んで次第に
上層を思うと、峰のごとく遥に高い。 気が違わぬから、声を出して人は呼ばれず、た....
「橋」より 著者:池谷信三郎
雪解けの日の夕暮。――都会は靄の底に沈み、高い建物の輪郭が空の中に消えたころ、
上層の窓にともされた灯が、霧の夜の灯台のように瞬いていた。 果物屋の店の中は一....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ろが、その数日後に天候が崩れはじめた。雷が多くなって暗澹たる積雲が、ひゅうひゅう
上層風をはらみながら、この渓谷をとざしてくる。雨ちかし、温霧谷はその名のとおり大....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
いところがある。この際霊界人にとりて、何より困難を感ずるのは適当な霊媒……ずっと
上層からの通信を感受し得る、適当な霊媒を選び出すことである。先ず第一にその人物は....
「伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
うな執拗な欲求をこめて彼はざくりと公園の落葉の堆積に踏み入った。下駄の歯は落葉の
上層を蹴飛ばした。やや湿って落ち付いた下層の落葉は朽ちた冷たい気配と共に彼の足踏....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
の背後には、回教風を真似た鋭い塔の尖や、西印度式の五輪塔でも思わすような、建物の
上層がもくもくと聳え立っていた。そして、その遥か中空を、仁王立ちになって立ちはだ....