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「上框〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上框の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
坊が縊《くび》り殺されそうに戸の外で泣き立てた。彼れはそれにも気を取られていた。上框《あがりがまち》に腰をかけていたもう一人の男はやや暫《しば》らく彼れの顔を見....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
鼠も寂莫《ひっそり》と音を潜《ひそ》めた。…… 八 台所と、この上框《あがりがまち》とを隔ての板戸《いたど》に、地方《いなか》の習慣《ならい》で....
雛がたり」より 著者:泉鏡花
間の台所が見えながら、穴を抜けたように鉤の手に一つ曲って、暗い処をふっと出ると、上框に縁がついた、吃驚するほど広々とした茶の間。大々と炉が切ってある。見事な事は....
婦系図」より 著者:泉鏡花
参りますから、ほんとうに……お嬢さん、」 と擦寄って、うっかりと見惚れている。上框が三畳で、直ぐ次がこの六畳。前の縁が折曲った処に、もう一室、障子は真中で開い....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
片附いて、門を閉めた。節穴へ明が漏れて、古いから森のよう、下した蔀を背後にして、上框の、あの……客受けの六畳の真中処へ、二人、お太鼓の帯で行儀よく、まるで色紙へ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ばかり、変な女が、立膝やら、横坐りやら、猫板に頬杖やら、料理の方は隙らしい。……上框の正面が、取着きの狭い階子段です。 (座敷は二階かい、)と突然頬被を取って上....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
吉の目には、博覧会の茶座敷を見るがごとく感じられた。が、入る時見た、襖一重が直ぐ上框兼帯の茶の室で、そこに、髷に結った娑婆気なのが、と膝を占めて構えていたから。....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
屋の戸が、手を掛けると訳もなく開きましたと申します。 何事も思わず開けて入り、上框に立ちましたが、帳場に寝込んでおりますから、むざとは入らないで、 「篠田、篠....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、我が丈より高き戸の引手を押せば、がたがたと音したるが、急にずらりと開く。婦人は上框に立ちたるまま、腕を延べたる半身、斜に狭き沓脱の上に蔽われかかれる。その袖の....
黒百合」より 著者:泉鏡花
燈に灯を移して、摺附木を火鉢の中へ棄てた手で鬢の後毛を掻上げざま、向直ると、はや上框、そのまま忙しく出迎えた。 ちょいと手を支いて、 「まあ、どうも。」 「…....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
いうと江崎が家の格子戸をがらりと開けて、 「今晩は。」 時に返事をしなかった、上框の障子は一枚左の方へ開けてある。取附が三畳、次の間に灯は点いていた、弥吉は土....
清心庵」より 著者:泉鏡花
かり経ってお帰りだった。ちょうど晩方で、ぴゅうぴゅう風が吹いてたんだ。 尼様が上框まで送って来て、分れて出ると、戸を閉めたの。少し行懸ると、内で、 (おお、寒....
式部小路」より 著者:泉鏡花
柳屋のお夏さん。」 「今日は、今日ア、」 かみさんが、 「ああい、」といって、上框の障子を閉め、直ぐその足で台所へ、 「誰? おや、床屋さん、」 「へへへへへ....
註文帳」より 著者:泉鏡花
々、」と内では、うつらうつらとでもしていたらしい、眠け交りのやや周章てた声して、上框から手を伸した様子で、掛金をがッちり。 その時|戸外に立ったのが、 「お待....
雪柳」より 著者:泉鏡花
中気|薬を舐めさせられた。その厭な心持。酔も醒めたといううちにも、エイと掛声で、上框に腰を落して、直してあった下駄を突っかける時、 「ああ月が出た。」 と壁の....