上気[語句情報] »
上気
「上気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
鋭い乳の臭いを感じた。
「おお、おお、よく肥《ふと》っていらっしゃる。」
やや
上気《じょうき》した女の顔には、絶え間ない微笑が満ち渡った。女は敏子の心もちに、....
「或る女」より 著者:有島武郎
た十三の少女は、汗じみた顔には下げ髪がねばり付いて、頬《ほお》は熱でもあるように
上気している。それを見ると葉子は骨肉《こつにく》のいとしさに思わずほほえませられ....
「或る女」より 著者:有島武郎
た午後の事だったが――葉子が縁側に倉地の肩に手をかけて立ち並びながら、うっとりと
上気して雀《すずめ》の交わるのを見ていた時、玄関に訪れた人の気配がした。
「だれ....
「星座」より 著者:有島武郎
。それだから平気でたびたび俺に眼を与えたのだ。おぬいさんの眼は、俺を見る時、少し
上気した皮膚の中から大きくつやつやしく輝いて、ある羞《はにか》みを感じながらも俺....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
でそっと聞くと、縁談でございますよ、とお源の答えに、ええ、旦那の、と湯上りの颯と
上気した顔の色を変えたが、いいえ、河野様が御自分の、と聞いて、まあ、と呆れたよう....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
近寄るに従って、クララは甘い苦痛を胸に感じた。青年が近寄るなと思うとクララはもう
上気して軽い瞑眩に襲われた。胸の皮膚は擽られ、肉はしまり、血は心臓から早く強く押....
「階段」より 著者:海野十三
げた。おお、これは又、なんという麗人であろう。花心のような唇、豊かな頬、かすかに
上気した眼のふち、そのパッチリしたうるおいのある彼女の両の眼は、階段のはるか下の....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
服装をしていた。ただコートの折りかえしだけが眼が痛くなるような紫の天鵞絨だった。
上気した頬と、不安らしくひそめた眉と、決心しているらしい下唇とが私の眼に映じたの....
「海底都市」より 著者:海野十三
人々の声は、カビ博士の名をよんで、その殊勲《しゅくん》をほめたたえる。博士は
上気《じょうき》して、顔をまっ赤にしている。 意外なる待人《まちびと》 「....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
友染の前垂れの膝を浮かして、ちょっと考えるようにしたっけ。その手拭を軽く持って、
上気した襟のあたりを二つ三つ煽ぎながら、可愛い足袋で、腰を据えて、すっと出て行く....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
が、かくて、品性を堕落し、威容を失墜したのである。 が、じれったそうな女房は、
上気した顔を向け直して、あれ性の、少し乾いた唇でなぶるうち――どうせ亭主にうしろ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
遠山の眉余り濃からず。生際少しあがりて、髪はやや薄けれども、色白くして口許緊り、
上気性と見えて唇あれたり。ほの赤き瞼の重げに見ゆるが、泣はらしたるとは風情異り、....
「露肆」より 著者:泉鏡花
をさらりと掛けつつ、ものうげに払いもせず……切の長い、睫の濃いのを伏目になって、
上気して乾くらしい唇に、吹矢の筒を、ちょいと含んで、片手で持添えた雪のような肱を....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
立ったのは、膚脱の緋より、帯の萌葱と、伊達巻の鬱金縮緬で。揃って、むら兀の白粉が
上気して、日向で、むらむらと手足を動かす形は、菜畠であからさまに狐が踊った。チャ....
「昔尊く」より 著者:上村松園
に具合よくいきまして気持ちもちいんとしずかに落ちつき、そして具合よく迅速に、その
上気持ちよく仕事が終るわけでございます。 これと申しますのも、或は火事にあいま....