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上膊
「上膊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上膊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
来、俄《にわか》に水母が殖《ふ》えたらしかった。現に僕もおとといの朝、左の肩から
上膊《じょうはく》へかけてずっと針の痕《あと》をつけられていた。
「どこを?」
....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
次第に紅潮し、果ては一種のオルガスムスに似た微かな痙攣がマスミのしなやかな肩から
上膊のあたりに波うつのさえ、認めたのだった。 「ねえマスミちゃん」と僕は声をかけ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
んです」 そういって青竜王は、ジュリアをソッとその白絹の上に横たえた。――右の
上膊に、喰い切ったような傷口があって、そこから鮮かな血を噴いているのが発見された....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
う。と同時に、いわゆるイエンドラシック反射が起って、その部分に加えられた衝撃が、
上膊筋に伝導して反射運動を起すのですから、当然博士は、無意識裡に両腕を水平に上げ....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
」と誰か云った。 「ずるけてサボるんでねえんだ。働けねえからだよ」 炭山が袖を
上膊のところまで、まくり上げて、眼の前ですかして見るようにかざした。 「長げえこ....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
げた鏡の前で、膚ぬぎになった職工たちが、石鹸の泡とお湯をはね飛ばした。悍しい肩と
上膊の筋肉がその度にグリ、グリッとムクレ上った。 ――馬鹿野郎め、石鹸が泣きや....
「火星探険」より 著者:海野十三
人の少年たちは安心をして元気づいた。張の怪我したところを調べてみると、それは左の
上膊《じょうはく》(上の腕)を何かでひどく引裂いていた。傷はいやに長く、永く見て....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
き以来、「火の玉」少尉は右腕の自由を失ってしまい、野戦病院に退いて、ついに右腕を
上膊から切断してしまったのである。 片腕なくなったのでは、「火の玉」少尉は再び....
「子を奪う」より 著者:豊島与志雄
安な気持ちになった。無理にしめくくられたような皺のある厚い唇、太く逞しい頸筋から
上膊、厚ぼったい胴、皮膚がたるんでるような肌目の荒い肉体、それらが誘惑しかけてく....
「月明」より 著者:豊島与志雄
っちりとみがはいっていた。――水から出て海岸の砂に寝そべりながら、赤く日に焼けた
上膊から剥がれる薄い皮を、しなやかな指先でそっとつまんで引張りながら、 「こんな....
「氷河」より 著者:黒島伝治
鞭打った。 耳朶のちぎれかけた男も、踵をそがれた男も、腰に弾丸のはまった男も、
上膊骨を折った男も、それ/″\、憐れみと、懇願の混合した眼ざしを持って弱々しげに....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
な呪文が現われ出たのだった。 そこで、四つの創形を云うと、そのうちの二つは左右
上膊部の外側、即ち肩口から二寸ほど下方にあって、残り二つは、左右腰骨の突起部、即....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
なやかに身に附き、ひらしゃらとなびく白き地質の衣を着ている。腕はあらわにて、その
上膊には蛇形の黄金の環をはめ、サンダアルを穿ち、黄金の細工の帯を締めている。カッ....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
は両手で小田島の腕を握り、毛織物を通して感じられる日本人独特の筋肉が円く盛上った
上膊に顳※を宛がった。そして何か強い精気あるものに溶け込み度い思いで一ぱいになっ....
「肉腫」より 著者:小酒井不木
上に、琺瑯鉄器製の盆をそっと載せ、ガーゼの覆いを取り除けた。五本の指、掌、前膊、
上膊、肩胛骨、その肩胛骨から発した肉腫が頭となって、全体が恰も一種の生物の死体で....