上草履[語句情報] » 上草履

「上草履〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上草履の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
》め人《にん》たちも勿論午後までは帰って来ない。その跡にはただ長い廊下に、時々|上草履《うわぞうり》を響かせる、女中の足音だけが残っている。 この時もそれが遠....
或る女」より 著者:有島武郎
子に散歩を促した。葉子はやむを得ず、かつかつと鳴る二人の靴《くつ》の音と、自分の上草履《うわぞうり》の音とをさびしく聞きながら、夫人のそばにひき添って甲板《かん....
或る女」より 著者:有島武郎
らの薄暗さがそのまま残っていた。白衣を着た看護婦が暗いだだっ広《ぴろ》い廊下を、上草履《うわぞうり》の大きな音をさせながら案内に立った。十日の余も、夜昼《よるひ....
政談月の鏡」より 著者:三遊亭円朝
出ます」 喜「何うか籬《まがき》の方へお出《いで》を願います」 其の内華魁が上草履《うわぞうり》を穿《は》いて跡尻《あとじり》から廻って参りますのを見て。 ....
出世」より 著者:菊池寛
ると、どうもその理由を正当に主張する勇気までが砕けがちであった。下足に供えてある上草履のどれよりも、貧弱だった。先方から借りる上草履よりも、わるい草履を預けなが....
旧主人」より 著者:島崎藤村
皿小鉢は仕舞い、物置の炭をかんかん割って出し、猫の足跡もそそくさと掃《ふ》いて、上草履《うわぞうり》を脱ぎまして、奥様の御部屋へ参りました。まだ宵の口から、奥様....
新生」より 著者:島崎藤村
はよく深い廂《ひさし》の下まで降り込んだ。母屋《おもや》へ通う廊下のところなぞは上草履《うわぞうり》でも穿《は》かなければ歩かれなかった。そういう日には特に下宿....
刺繍」より 著者:島崎藤村
々々した小娘に吩咐《いいつ》けた。廊下を隔てて勝手の方が見える。働好きな婆さんが上草履《うわぞうり》の音をさせている。小娘は婆さんの孫にあたるが、おせんの行った....
婦系図」より 著者:泉鏡花
るし、両親もたって希望なり、不問に附して黙諾の体でいる。 ト今夜もばたばたと、上草履の音に連れて、下階の病室を済ました後、横田の田畝を左に見て、右に停車場を望....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
ようだが」 と折戸を開けて、 祖「彼の家に隠れて居りはしないか」 と手水場の上草履を履いて庭へ下り、開戸を開け、折戸の許へ佇んで様子を見ますと、本を読んでい....
」より 著者:徳田秋声
ら、仕事をしても報酬が得られるかどうかということも疑問であった。妙な廻り合せで、上草履一つ買えずにいる笹村は、もと下宿にいた時のように気ままに挙動うことすら出来....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ぐようで、鮮麗に見えて、いたいたしい。 いたいたしいと言えば、それがね、素足に上草履。あの、旅店で廊下を穿かせる赤い端緒の立ったやつで――しっとりとちと沈んだ....
六月」より 著者:相馬泰三
に触れる部分には繃帯をしてもらったりした。 社へ行くと、下足番の爺さんが、彼の上草履を出しながらにやにや薄笑いして何か彼に言いそうにした。彼は何か言われないう....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
ろが二高に来て見ると、これはまた京都以上に細々した事が喧しかった。第一靴を脱いで上草履に穿き替えなければ板間に上ることが出来なかった。余の頭に下駄箱の厭な印象が....
丸の内」より 著者:高浜虚子
になった。下駄は雪駄に替えた。それに下足預り所の設備があった。雨の降る日は下駄を上草履に替えた。少しも不便を感じなかった。しかし和服のものは極めて少なかった。現....