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上辺
「上辺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上辺の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
《うらやま》しいのと、妬《ねた》ましいのとで、腹が立って仕方がありません。そこで
上辺《うわべ》はさも嬉しそうに、いろいろ髪長彦の手柄を褒《ほ》め立てながら、とう....
「入れ札」より 著者:菊池寛
ねえじゃねえか。忠次の一の子分といえばお前さんにきまっているじゃねえか。 九郎助
上辺《うわべ》はそうなっている。だが、俺、去年、大前田との出入りの時、喧嘩場から....
「かのように」より 著者:森鴎外
。ロシアとでも比べて見るが好い。グレシア正教の寺院を沈滞のままに委《まか》せて、
上辺《うわべ》を真綿にくるむようにして、そっとして置いて、黔首《けんしゅ》を愚《....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
パラと頁を繰っているうちに、何やら発見したと見えて、開いた個所を法水に向け、その
上辺に指頭を落した。実に、法水の狂的散策を諷刺した、検事の痛烈な皮肉だったのであ....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
ノ山に登りました。ここは鳥取の人が炭焼きにきて少し木を切っていて楽に歩けます。頂
上辺で炭焼きの人に逢い、鳥取県からはこの山へ道があると聞きました。扇ノ山の三角点....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
った。しかし何よりも驚くべきはその美しい色艶で、燃え立つばかりに紅かったが、単に
上辺だけの紅さではなく、底に一抹の黒さを湛えた小気味の悪いような紅さであり、ちょ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
力借りたき大事|出来そうろうまま、すぐさまご入来願わしく、他行お名ざしのことなぞ
上辺の首尾については、当方より人をもってご奉行職に申しあげおくべくそうろうあいだ....
「沈黙の塔」より 著者:森鴎外
る作は凡作である。因襲の目で芸術を見れば、あらゆる芸術が危険に見える。 芸術は
上辺の思量から底に潜む衝動に這入って行く。絵画で移り行きのない色を塗ったり、音楽....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
、いわば彼の生活の核心をなしているものは、残らず人目を避けて行なわれる一方、彼が
上辺を偽る方便、真実を隠そうがために引っかぶる仮面――例えば彼の銀行勤めだの、ク....
「雁」より 著者:森鴎外
人に対して物を言う時に用いる反語のように、いっそ娘が憎くなったら好かろうと、心の
上辺で思って見るに過ぎない。 それでも爺いさんはこの頃になって、こんな事を思う....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
が、下のほうだけがさいわいに、帆桁にむすびついてあった。ふたりは一生けんめいに、
上辺のなわを切りはなした。帆は風にまかせて半空にひるがえった。ふたりはようやくそ....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
ンシコフの話によると、人中での態度は控え目でむしろおどおどしているくらい、率直で
上辺を飾らず絶えて美辞麗句を口にしない。さらにメンシコフによれば、彼は進取の気象....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
だまだ工業の侵略が緩漫《かんまん》に過ぎている。本所小梅《ほんじょこうめ》から押
上辺《おしあげへん》に至る辺《あたり》も同じ事、新しい工場町《こうじょうまち》と....