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上顎
「上顎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上顎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
からまだ二タ月か三月しか経つまいと思われるぐらいの嬰児《みずこ》であったが、その
上顎の左右には一本ずつの牙が生えていた。俗にいう鬼っ児である。この鬼っ児をかかえ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
かった代りに、当然そこに歯痕のあるべき皮膚面が抉ったように切れこんでいた。恐らく
上顎の糸切歯がここに喰いこんで、四郎少年の皮膚と肉とを破り、頸動脈をさえ喰い切っ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
片かは口の中へ入ってしまった。けっけと唾を絞って吐き出したが、最後の一ひらだけは
上顎の奥に貼りついて顎裏のぴよぴよする柔いところと一重になってしまって、舌尖で扱....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
き其者の性、年齢、顔貌の特徴、栄養の程度及び能うべくば死因の鑑定をする事。 特に
上顎門上歯が幾分前に出て居りしや否や、下顎犬歯は普通人に比して長きや否や、犬歯の....
「花吹雪」より 著者:太宰治
々。老生の初陣を慶祝するが如き風情に有之候。老生はただちに身仕度を開始せり。まず
上顎の入歯をはずし、道路の片隅に安置せり。この身仕度は少しく苦笑の仕草に似たれど....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
の声だけが耳に残っている。 掛声をかけたり、地謡を謡ったりしているうちに、翁の
上顎の義歯が外れ落ちてガチャリと下歯にぶつかる事が度々であった。 「衣笠山……ガ....
「惜別」より 著者:太宰治
てもらおうか。あれなら、無難だ。」 私は思わず、くすと笑ってしまった。津田氏の
上顎が全部ぶさいくな義歯なのを看破したからである。ブラザー軒のカツレツを靴の裏と....
「枯菊の影」より 著者:寺田寅彦
まった。凧のうなりがブンブンと聞えている。熱は追々高くなるらしい。口が乾いて舌が
上顎に貼り付く。少し眠りたいと思うて寝返りをすると、額の氷袋の氷がカチカチと鳴っ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ないと叫び出そうとしましたが、どうしてもそれが言えないのです。わたしは自分の舌が
上顎に釘づけにでもなったくらいで、いやの字も言うことができなかったのです。それは....
「アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
よい死方をしたのですね.」 言いながら私の頭を取って, 自分の家へ持って行き私の
上顎の骨を 自分の便所のどだいとし,私の下顎を その妻の便所の礎として, 私のか....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
した。彼は憂鬱になってきた。讃美歌をまたはじめようとしたが、からからに乾いた舌が
上顎にくっついてしまった。一節も歌えなかった。この執拗な道連れが不機嫌におし黙っ....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
私は少々歯が悪いのだがカステラを噛むように口中で砕ける。時局柄のトンカツやテキを
上顎と下顎に挟んで、顳※を痛くするのとは訳が違う。おかげさまで、麦酒が素敵にうま....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
殺った、 あ、ブラボウ、 巨大な、若い英雄、ブル。 くわっとあけた口、
上顎、舌、 両頬の髭、 眼光。 砂上、黒雲の影、いよいよ盛んなる乱闘、 ....
「オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
いつもの規則ただしい順序をふんで、彼はやや乱れた鋭い歯を一本ずつ見てゆき、最後に
上顎の前歯を、しばらく見つめたあとで、
上顎の前歯と前歯とのあいだにピンセットを突....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
代の或る巨大なる動物が、胴体を地下に埋没された苦し紛れに大きな口をカッと開いて、
上顎と下顎とをむき出したまま化石となっている其中へ飛び込んだような気がする。風雨....