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「下宿屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

下宿屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
……。 葉子は酔ったもののようにふらふらした足どりでそこから引き返した。そして下宿屋に来《き》着いた時には、息気《いき》苦しさのために声も出ないくらいになって....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
実になっているにかわらず、毎年何百という官私大学卒業生が、その半分は職を得かねて下宿屋にごろごろしているではないか。しかも彼らはまだまだ幸福なほうである。前にも....
弓町より」より 著者:石川啄木
ねながら、もし万一死ぬことができたなら……というようなことを考えて、あの森川町の下宿屋の一室で、友人の剃刀《かみそり》を持ってきて夜半ひそかに幾度となく胸にあて....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
えた年増のアイスランド女だった。彼女はサンノム老人の姪で、水戸なんかの泊っている下宿屋で働いていて、主人のサンノム老人を助けていたのだ。 「エミリー、君か。まさ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と薫る、燈の真蒼な、明い水菓子屋の角を曲って、猶予わず衝と横町の暗がりへ入った。下宿屋の瓦斯は遠し、顔が見えないからいくらか物が云いよくなって、 「奥さんが、お....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
九 宗吉が夜学から、徒士町のとある裏の、空瓶屋と襤褸屋の間の、貧しい下宿屋へ帰ると、引傾いだ濡縁づきの六畳から、男が一人|摺違いに出て行くと、お千さ....
女客」より 著者:泉鏡花
は。」 とあるじも火に翳して、 「そんな気でいった、内らしくないではない、その下宿屋らしくないと言ったんですよ。」 「ですからね、早くおもらいなさいまし、悪い....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
あるものに、あえて返事もしなかったのである。 〆の形や、雁の翼は勿論、前の前の下宿屋あたりの春秋の空を廻り舞って、二三度、俊吉の今の住居に届いたけれども、疑も....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
門口で呼ぶ方が早手廻しだと、小宮山はまた引返して参りますと、つい今錠の下りていた下宿屋の戸が、手を掛けると訳もなく開きましたと申します。 何事も思わず開けて入....
不吉の音と学士会院の鐘」より 著者:岩村透
に残っているというその一例に属する話である。巴里に於ける官立美術学校の附近に或る下宿屋がなる。一体の出来が面白い都会で、巴里に遊んでその古えを忍ぶとき、今も猶お....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
ックリは児女輩の遊戯同様のものにて、近ごろ当府下にて流行の景況を見るに、書生輩の下宿屋に休日の晩には数名相会し、種々さまざまのことを問いかけて一夕の遊戯となし、....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
ガサした下等な家で、二葉亭の外にも下宿人があったらしく、写真屋が本業であった乎、下宿屋が本業であった乎、どちらとも解らない家であった。 秋の一夜偶然尋ねると、....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
来た。来れば必ず一日遊んでいた。時としては朝早くから私の寝込を襲うて午飯も晩飯も下宿屋の不味いものを喰って夜る十一時十二時近くまで話し込んだ事もあった。 その....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
し、世間の好奇心を一層|喚びもした。その頃までは青年の青雲の希望は政治に限られ、下宿屋から直ちに参議となって太政官に乗込もうというのが青年の理想であった時代であ....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
はじめ、私は私で近郊の牧場にむぎぬかとか、ふすまを納めるまぐさ屋を開業した。この下宿屋にいて、私の持って帰る牛乳と生卵ばかり食わされていた帝大生の一人に、菊池龜....