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「下弦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

下弦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「自叙伝」より 著者:大杉栄
着換えているのを外出止めにした。 ある日大尉は、夕飯の時に、きょうの月は上弦か下弦かという質問を出した。 「大杉！」 僕は自分の名を呼ばれて立った。それが下....
「稲生播磨守」より 著者:林不忘
、そんなことですか。さような微々たる――ははははは、殿、お庭を御覧じませ。美しき下弦《かげん》の月。昼間のお歌のつづきをこれにて。さぞや御名吟が――。 播磨 （....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
！ と、嗤《わら》って、冷たい夜風が、こうこうと、淋しく溢れる堤に立って、薄雲に下弦の月は隠れているが、どんよりとした空の下に、森々《しんしん》と眠っている村落....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
のか。 幽霊の科学 しずまりかえった真夜中のことだった。 光もおぼろの下弦の月が、中天にしずかにねむっていて風も死んでいた。 ぼろぼろの服に身体を包....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
それが、何と、明い月夜よ。明神様もけなりがッつろと、二十三夜の月待の夜話に、森へ下弦の月がかかるのを見て饒舌った。不埒を働いてから十五年。四十を越えて、それまで....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
務所の顕治宛 上落合より（封書）〕 第七信 二月七日の夜からはじまる。木曜日。下弦の月。さむし。 こんばんは。今、女の生活のことについての二十枚近いものを書....
「魔王物語」より 著者:田中貢太郎
った。庭前には籠が据えてあって、其の傍には天狗のような異形の者が五六十人ばかり、下弦の月の光の下に見えていた。魔王が庭におりるとそれ等の異形の者は、一斉に地上に....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
矢島さんは庭下駄をつっかけて椽側から外へ下りて行った。空には一点の雲もなかった。下弦の月が西の空に懸って、まばらな星がちらちらと輝いていた。静かな夜であった。そ....
「或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
の木立へかけて、薄い靄が一面に流れていて、空高く星が光っており、西の空にどす赤い下弦の月が懸っていた。その不気味な月に暫く見入っているうち、俄にぞっと寒けを感じ....
「魔像」より 著者:林不忘
る頃で、ふり返れば、蜂須賀中納言《はちすかちゅうなごん》の屋敷の森に、芝居めいた下弦《かげん》の月が白かった。 あれから真っ直ぐに大通りへ出て、間もなく、九段....
「地上」より 著者:島田清次郎
にうなされているお光の夢を声が醒ました。夢ではないかと首をもたげると硝子戸越しに下弦の月が寒く照っていた。 「年甲斐もない、今のざまになっていながら、よくもまあ....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
に放りだすと脇差を抜いて振りかぶった。冴えた刀身に、折りから日本海の波近く傾いた下弦の秋月がきらめいた。頭の真っ向から、先着の武士は割りつけられた。血しぶきが散....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
また上二番町辺樹木谷《かみにばんちょうへんじゅもくだに》へ下《おり》る坂の如きは下弦の月鎌の如く樹頭に懸る冬の夜《よ》、広大なるこの辺《へん》の屋敷屋敷の犬の遠....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。青蛙の卵と蝦蟇の舌とを 水に漬けて、汁を澄ませて、満月の夜に丁寧に 蒸餾して、下弦の月の夜に旨くお塗なさい。 春になってから、斑は出なくなりますよ。 ....
「一人舞台」より 著者:ストリンドベリアウグスト
っとして坐っていて落ち着き払って、黙っているのが癪に障るわ。今の月が上弦だろうが下弦だろうが、今夜がクリスマスだろうが、新年だろうが、外の人間が為合せだろうが、....