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下心
「下心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
れてしまった。木村はその時にはもう大体覚悟を決めていた。帰ろうと思っている葉子の
下心《したごころ》をおぼろげながら見て取って、それを翻す事はできないとあきらめて....
「或る女」より 著者:有島武郎
の事について倉地に合点させておくのが必要だと思ったのでいい出された時から一緒する
下心《したごころ》ではあったのだ。葉子はそこにあったペンを取り上げて紙切れに走り....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
の山猿なんか。しかし、念のために土地の女の風俗を見ようと、山王様|御参詣は、その
下心だったかとも存じられます。……ところを、桔梗ヶ池の、凄い、美しいお方のことを....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
手数と、薪の倹約とができるので、田舎のたまかな家ではよくやる事だ。この夜おとよは
下心あって自分から風呂もたててしまいの湯の洗濯にかこつけ、省作を待つのである。 ....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
起して横領を企てるに至った。継母お鳥も、いまは情念の悪鬼となり、虎に同意をして、
下心あってあの黄風島へ渡り、計画に従って僕を病気として精神病院に入れ、折を見て殺....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
もし聞きもしたいということであったそうだが、来るにはどうせ手ぶらでは来まいという
下心があるらしかったそうだ。現に同志の一人の細君は、面会へ行くたびにお土産物を持....
「恐竜島」より 著者:海野十三
来た。マルタンという野郎も珍らしい島だったら、それを種にして一もうけしようという
下心でついて来た。めんどうなのはツルガ博士という考古学者とかいう学問の先生だ。こ....
「超人間X号」より 著者:海野十三
社会に公開し、社会と人類の文化の向上をはかったのである。 それはX号のように、
下心《したごころ》あるうわべだけの行為ではなく、本心から出た愛情のこもった行為で....
「火薬船」より 著者:海野十三
火事になったというような非常時なら、べつですがね」 船長ロロー役の警部モロは、
下心があって、なかなか怪人ポーニンの意にしたがわない。 ポーニンとしては、ロロ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のつもりでは、私達夫婦の間に男児が生れたら、その一人を大江家の相続者に貰い受ける
下心だったらしいのでございます。 見合いでございますか……それは矢張り見合いも....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
る時節がだんだん近づいて来た。 友之助の母お銀はその以前からお筆を嫁に貰いたい
下心があった。お筆はことし十八で、来年は十九の厄年にあたるから、なるべくは年内に....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
出たばかりであった。両親はあまり内気な性質のかの女に、多少世間を見させようとする
下心もあって、他人の屋根の下に暮らさせるためだった。去年大学を出た同じく内気な性....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
くりこす、こは第三巻なり、かう発刊の都度々々におくりこすは予にも筆を執らせんとの
下心あればなるべし、そを知りつつ取り置くは愚なり、辞みやらんとは思へどもさすがに....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
たが、今度の破門についても、父が、慶四郎を今一年もしたらまた、迎い入れようという
下心を娘達に話さなかったら、千歳にはかなり寂しい出来事だったに違いなかった。 ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ではなく、自分の描きつつある女の像と、その娘と、どっちが美しいか見較べようという
下心があるのでした。 娘は、若い画家のため老大家のモデルになることを承知しまし....