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下流
「下流〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下流の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
家庭は貧しかった。尤《もっと》も彼等の貧困は棟割長屋《むねわりながや》に雑居する
下流階級の貧困ではなかった。が、体裁を繕う為により苦痛を受けなければならぬ中流下....
「星座」より 著者:有島武郎
葉の中でその木の葉だけは、動くともなく岸から遠ざかっていったが、およそ十間近くも
下流の方に下って、一つの瀬に近づいたとおもうころ、その瀬によって惹《ひ》き起され....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
ちょうど切穴の形になって、そこへこの石を嵌《は》めたような誂《あつらえ》。川上も
下流も見えぬが、向うのあの岩山、九十九折《つづらおり》のような形、流は五尺、三尺....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、透かさずクウクウ、調子を合わせる。 聞き定めて、 「おや、」と云って、一段|
下流の板敷へ下りると、お源と云う女中が、今しがたここから駈け出して、玄関の来客を....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
今日のように切迫した時局を知ったなら、彼は立ち処に故山に帰り、揚子江と銭塘口との
下流一帯を糾合して、一千年前の呉の王国を興したことだろう。それは中国の心臓を漢青....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
親しそうに見えた。 小屋 宿屋の前では、広い河原を流れる水が、少し
下流に行くと十間幅の激流となる。凄ましい音をたてて水はうねったり跳ねたり、できる....
「恐竜島」より 著者:海野十三
は、にわかに出来た流れをあきれながら見ていたが、ふと気がついて、その流れにそって
下流《かりゅう》の方へ歩きだした。 五十メートルぐらい歩いたとき、そのにわかに....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
を磨ぎました。 学円 いや、しらげ水は菖蒲の絞、夕顔の花の化粧になったと見えて、
下流の水はやっぱり水晶。ささ濁りもしなかった。が、村里一統、飲む水にも困るらしく....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
師匠も言いきけてはありますし、当人も、左様に人様には申しておりましたが、この川の
下流の釜ヶ淵――いえ、もし、渡月橋で見えます白糸の滝の下の……あれではござりませ....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
にあらざれば、ただ指して打騒ぐ。かかる事二日三日になりぬ。余り訝しければ、遥かに
下流より遠廻りにその巌洞に到りて見れば、女、美しき褄も地につかず、宙に下る。黒髪....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
いに差出した。それは読めたが、今声を懸けたばかりの、勝手口の腰障子は閉まったり、
下流の板敷に、どッしり臀を据えて膝の上に頤を載せた、括猿の見得はこれ什※。 「ま....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
クルクルと廻って流れて行く。私は夢中になってこっち岸の岩を三つ四つ、横っ飛びに、
下流の方へ走った。手をのばして、流れて行く人の手だか足だかをつかまえた。 さす....
「西航日録」より 著者:井上円了
を請うは、上下一般の風習にして、巨万の財を有する紳士、なお乞食根性あり、いわんや
下流においてをやと。余、よって左のごとくよみたり。 来て見れば恒河の水は濁りてぞ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
して、そのほかは雨期に大河となり、晴期にはほとんど水なきもの多し。上流に水ありて
下流になきものあり。樹木には世界第一の喬木と称せらるる、高さ四百八十尺に達する大....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
―狭い木造の両国橋にいまだに愛惜を感じている。それは僕の記憶によれば、今日よりも
下流にかかっていた。僕は時々この橋を渡り、浪の荒い「百本杭」や蘆の茂った中洲を眺....