下町風[語句情報] » 下町風

「下町風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

下町風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老妓抄」より 著者:岡本かの子
た。老妓はそれまでの指導の礼だといって、出入りの職人を作者の家へ寄越して、中庭に下町風の小さな池と噴水を作ってくれた。 彼女が自分の母屋《おもや》を和洋折衷風....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
しいくだけた感じを与えた。込み合う雑沓の人々も、角袖の外套や手柄をかけた日本髷や下町風の男女が、目立って交っていた。 人混を縫って歩きながら夜店の側に立ち止っ....
河明り」より 著者:岡本かの子
ら咽喉もとまで大輪の花の莟のような張ってはいるが、無垢で、それ故に多少寂しい胸が下町風の伊達な襟の合せ方をしていた。座板へ置いて無意識にポーズを取る左の支え手か....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ったところだ。旧いなじみの多吉夫婦が住む左衛門町の家だ。和助はどうして父がそんな下町風の家の人たちと親しくするのか何も知らないから、一別以来の話が出たり、飛騨の....
」より 著者:島崎藤村
すネ」 と正太は茶を持って上って来た叔母の髪に目をつけた。お雪は束髪を止して、下町風の丸髷にしていた。 お雪が下りて行った後で、榊は三吉と正太の顔を見比べて....
分配」より 著者:島崎藤村
魚を並べた肴屋の店がその障子の外に見おろされる。向かい隣には、白い障子のはまった下町風の窓も見える。そこは私があの山の上から二度目に越して行った家の二階で、都会....
新世帯」より 著者:徳田秋声
返しの女が一人、腕車でやって来た。それが小野の内儀さんのお国であった。 お国は下町風の扮装をしていた。物のよくないお召の小袖に、桔梗がかった色気の羽織を着て、....
足迹」より 著者:徳田秋声
ったが、目に涙がにじんだ。明けると十四になる正雄の様子は、しばらくのまにめっきり下町風になっていた。頭髪を短く刈り込んだ顔も明るく、縞の綿入れに角帯をしめた体つ....
」より 著者:徳田秋声
は、子供を女中と看護婦に委しきりで、自分たちは時々着飾って一日外で遊んで来る若い下町風の夫婦があったり、沼津へ避暑に来ていて、それなり発病した子供を連れて来てい....
黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
たが、忽ち眼を丸くして舌をダラリと出した。 インバネスに中折れの苦味走った男と下町風のハイカラな娘が材木の積み重なった間で話しをしている。 三平は耳を板の間....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
根がくずれて、見るもあさましい形になってはいたが、真新しい明石縮の粋な単衣を着た下町風の女房だった。しかし見たところ、別に身体の異状はないらしく、ただうつぶせに....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
んの結綿島田に、緋鹿子、匹田、絞の切、色の白い細面、目に張のある、眉の優しい、純下町風俗のを、山が育てた白百合の精のように、袖に包んでいたのは言うまでもない。…....
両面競牡丹」より 著者:酒井嘉七
もあろうか、真実にわたしによく似た方もあるもの、この人なれば、仲間うちのものが、下町風に身を※した自分とも思い違えて、こちらの袖に物をかくすほどのことは無理から....
光は影を」より 著者:岸田国士
理を引きたゝせ、みなの食欲を弾ませる術を心得ていた。母は、若い頃の写真でみると、下町風の美人という型である。日本橋のさゝやかな旅館の娘だつた。父は、これまた青年....
式部小路」より 著者:泉鏡花
と小股の締った風采、この辺にはついぞ見掛けぬ、路地に柳の緑を投げて、水を打ったる下町風。 恍惚と顔を上げ、前途を仰ぐように活々した瞳をぱっちりと※いたが、流を....