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「下肥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

下肥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
放浪」より 著者:織田作之助
て戎橋の上で佇んでいると、橋の下を水上警察のモーターボートが走って行った。後から下肥を積んだ船が通った。ふと六貫村のことが連想され、金造の声がきこえた。わりゃ、....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
いた爺の仕事は、啣え煙管の背手で、ヒョイ/\と野らの麦踏。若い者の仕事は東京行の下肥取りだ。寒中の下肥には、蛆が涌かぬ。堆肥製造には持て来いの季節、所謂|寒練で....
二つの庭」より 著者:宮本百合子
色づきかけており、大気の中には草木のみのる香りと午後の日光にあたためられた強壮な下肥えのにおいが漂っている。草道へ出ると、伸子は歩きながら秋の野草の花をつんだ。....
試験管」より 著者:寺田寅彦
いるように思われた。それがまた妙に心細くひどくたよりなく思われた。 たとえば、下肥えのにおいやコールタールのにおいには、われわれに親しい人間生活の幻影がつきま....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
半ば裸体で、酔払って、だらしなく、醜くかった。路地や拱門路からは、それだけの数の下肥溜めがあると同じように、疎らに家の立っている街上へ、胸の悪くなるような臭気と....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
、現在あるものを科学化し或は能率化して行けば、それでよろしいのでは無いか、例えば下肥《しもごえ》の如きも、これを相当科学化して乾燥した固形物とするか、或は粉未と....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
さんでも両手に乳飲子をかかえた畑仕事はさすがに手に余ったのでしょう。ある冬の朝、下肥えを汲みに大阪へ出たついでに、高津の私の生家へ立ち寄って言うのには、四つにな....
次郎物語」より 著者:下村湖人
しそうに学校に出て行くことになったからである。 しかも、数日の後には、次郎は、下肥を汲んでいた直吉の頓狂な叫び声で、大まごつきをしなければならなかった。 「あ....
土地に還る」より 著者:豊島与志雄
はなにか物案じげな様子で、ゆっくりとしました。肥料としては、ただ堆肥だけを使い、下肥は用いませんでした。下肥を嫌がったわけではなく、その臭気が内心の思いを邪魔す....
食べもの」より 著者:佐藤垢石
枯木が倒るるが如く、畳の上で大いびき。 合計百二、三十坪の野菜畑に過ぎないが、下肥汲みまでやるのであるから、なれぬからだには相当の労働だ。快く疲労すること、ま....
艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
ま》も哀れやいつ建つ草の波 行く前に三百円は小料理屋 見番の骨ばかり出来あかざ草下肥の匂ひこれが東京柳橋 おごりなら泊るあしたは外食券 入口は喫茶、小待合は奥 ....
葛飾土産」より 著者:永井荷風
中山《なかやま》の辺まで出かけてゆく。それはいずこも松の並木の聳えている砂道で、下肥《しもごえ》を運ぶ農家の車に行き逢う外《ほか》、殆ど人に出会うことはない。洋....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
の上に立っている。節倹は道徳といわんよりもむしろ法則であった。この人々の生活は、下肥をきたないという点にまで感覚が進んでは、続けにくい労働でありまた消費でもあっ....
サラダの謎」より 著者:中谷宇吉郎
、ああいう西洋風の野菜の栽培には適しているはずである。しかし市場にあるものでは、下肥《しもごえ》を使ったかもしれないという心配が大いにある。それで庭の一部に小さ....
放浪」より 著者:織田作之助
して戎橋の上で佇んでいると、橋の下を水上警察のモータボートが走って行った。後から下肥を積んだ船が通った。ふと六貫村のことが聯想され、金造の声がきこえた。わりゃ、....