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「下腹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

下腹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
、暗《やみ》を誘うごとく、かすかにもれ始めた。阿濃《あこぎ》は、歌の半ばで、突然下腹に、鋭い疼痛《とうつう》を感じ出したのである。 ―――....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
《かいよう》です。が、ただいま拝見した所じゃ、腹膜炎を起していますな。何しろこう下腹《したはら》が押し上げられるように痛いと云うんですから――」 「ははあ、下腹....
或る女」より 著者:有島武郎
冷やしたり、感情が激昂《げきこう》したりしたあとでは、きっと収縮するような痛みを下腹部に感じていた。船に乗った当座は、しばらくの間は忘れるようにこの不快な痛みか....
或る女」より 著者:有島武郎
ろのないような健康の意識はその後葉子にはもう帰って来なかった。寒気が募るにつれて下腹部が鈍痛を覚えるばかりでなく、腰の後ろのほうに冷たい石でも釣《つ》り下げてあ....
高野聖」より 著者:泉鏡花
うと思う長虫と見えたので、やむことをえず私《わし》は跨《また》ぎ越した、とたんに下腹《したっぱら》が突張《つッぱ》ってぞッと身の毛、毛穴が残らず鱗《うろこ》に変....
クララの出家」より 著者:有島武郎
。クララは眼がくらみながらも起き上がろうともがいとさし通した。燃えさかった尖頭は下腹部まで届いた。クララは苦悶の中に眼をあげてあたりを見た。まぶしい光に明滅して....
海異記」より 著者:泉鏡花
兄哥がよ。おい。 あやかし火さ、まだ舵に憑いて放れねえだ、天窓から黄色に光った下腹へな、鮪縄さ、ぐるぐると巻きつけて、その片端を、胴の間の横木へ結えつけると、....
栃の実」より 著者:泉鏡花
は、柔い粥とも誂えかねて、朝立った福井の旅籠で、むれ際の飯を少しばかり。しくしく下腹の痛む処へ、洪水のあとの乾旱は真にこたえた。鳥打帽の皺びた上へ手拭の頬かむり....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
さん――と兼帯に使う、次の室へ立った間に、宗吉が、ひょろひょろして、時々浅ましく下腹をぐっと泣かせながら、とにかく、きれいに掃出すと、 「御苦労々々。」 と、....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
れている。悲惨な事には、水ばかり飲むものだから、身籠ったようにかえってふくれて、下腹のゆいめなぞは、乳の下を縊ったようでしたよ。 空腹にこたえがないと、つよく....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
うとする処、ものの本をまだ一枚とうたわぬ前、ピシリとそこへ高拍子を打込んだのが、下腹へ響いて、ドン底から節が抜けたものらしい。 はっと火のような呼吸を吐く、ト....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
さて、鳴くか。」 「へい?……」 「やはりその、」 と張肱になった呼吸を胸に、下腹を、ずん、と据えると、 「カーン! というて?」 どさりと樹から下りた音。....
南地心中」より 著者:泉鏡花
婆気な駕籠屋でした。」 「まったくだね、股引の裾をぐい、と端折った処は豪勢だが、下腹がこけて、どんつくの圧に打たれて、猫背にへたへたと滅入込んで、臍から頤が生え....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
けて来た。いきなり、けらけらと笑ったのは大柄な女の、くずれた円髷の大年増、尻尾と下腹は何を巻いてかくしたか、縞小紋の糸が透いて、膝へ紅裏のにじんだ小袖を、ほとん....
化鳥」より 著者:泉鏡花
ずして、胸を開けて、けばけばしゅう襟飾を出した、でっぷり紳士で、胸が小さくッて、下腹の方が図ぬけにはずんでふくれた、脚の短い、靴の大きな、帽子の高い、顔の長い、....