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下顎
「下顎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下顎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
だ手や足にも、どこかまだ老年に抵抗する底力が残っている。これは顔でも同じことで、
下顎骨《かがくこつ》の張った頬のあたりや、やや大きい口の周囲に、旺盛な動物的精力....
「或る女」より 著者:有島武郎
風《ふう》に蒼白《あおじろ》いなめらかな皮膚の、よく見ると他の部分の繊麗な割合に
下顎骨《かがっこつ》の発達した――までどこか葉子のそれに似ていたから、自意識の極....
「或る女」より 著者:有島武郎
張りを加えていた。ただ葉子がどうしても弁護のできないのはますます目立って来た固い
下顎《したあご》の輪郭だった。しかしとにもかくにも肉情の興奮の結果が顔に妖凄《よ....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
部の肋骨の一本は、無惨にもヘシ折られていた。更に又、屍体の所々――両方の掌、肩、
下顎部、肘等の露出個所には、無数の軽い擦過傷が痛々しく残り、タオル地の寝巻にも二....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ているが、もはや七十に垂んとする老人だった。無髯で赭丹色をした顔には、顴骨突起と
下顎骨が異常に発達している代りに、鼻翼の周囲が陥ち窪み、その相はいかにも醜怪で―....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
の鉢が低く斜めに殺げ、さらに眉のある上眼窩弓がたかい。鼻は扁平で鼻孔は大、それに
下顎骨が異常な発達をしている。仔細に見るまでもなく男性なのである。 それはまあ....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
きになると、幹太郎は、ワザと、于の尻を押してみたい気持を感じるのだった。小山は、
下顎骨が燐の毒で腐り、その上、胸を侵され、胴で咳をしていた。于は、人を小馬鹿にし....
「地球要塞」より 著者:海野十三
かッと音がして開いた。とたんに、待望久しかった新鮮の空気が、どっとはいって来て、
下顎《したあご》から顔面をなでて、流れだした。 「開扉《かいひ》します」 オル....
「穴」より 著者:黒島伝治
撥しながら、知らず/\素直におど/\した返事をした。 「そのまゝこっちへ来い。」
下顎骨の長い、獰猛に見える伍長が突っ立ったまゝ云った。 彼は、何故、そっちへ行....
「氷河」より 著者:黒島伝治
ていたが、彼は、それよりさきに、大男のメリケン兵を三人ぶち斬っていた。 中尉は
下顎骨の張った、獰猛な、癇癪持ちらしい顔をしていた。傷口が痛そうな振りもせず、と....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
!」新子は、無愛想に、広い聡明な額のうすい細い眉をひそめて、そちらを振りむいた。
下顎骨が形よく精巧に発達していて、唇が大きかった。のどかそうな、それでいてひどく....
「白光」より 著者:井上紅梅
さわるとはなはだ脆い。彼は用心深く撮み上げ、燈光の下でよく見ると、斑に剥げ爛れた
下顎の骨で、上には不揃いに欠け落ちた歯が一列に並んでいる。この
下顎の骨は握ってい....
「役者の一生」より 著者:折口信夫
子ということになっているが、源之助の容貌を見ると、大阪の中村宗十郎とどうも似て、
下顎の少し張った美しい顔をしている。一体に芝居者は、色町で誕生する子同様、親子の....
「「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
見ない。漢人、満人、蒙古人、朝鮮人、乃至台湾、馬来の人々に至るまで、僅かに鼻下と
下顎とに少量の鬚を有するを常とするにかかわらず、今の北海道のアイヌには甚だそれが....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
質が至って頑冥であることこの石のようにあるです。
この種族の婦人という者はその
下顎に三つの縦筋を描いて居る。それは黒く入墨をして居るものもあれば、入墨するだけ....