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不似合
「不似合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不似合の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
であった。そうしてその娘に彼のような野人が恋をすると云う事は、彼自身にも何となく
不似合《ふにあい》の感じがしたからであった。
彼が始めてこの娘に遇《あ》ったの....
「或る女」より 著者:有島武郎
に簡単な挨拶《あいさつ》を残したまま上陸した岡から来たものだった。いかにも人柄に
不似合いな下手《へた》な字体で、葉子がひょっとすると上陸を見合わせてそのまま帰る....
「或る女」より 著者:有島武郎
ひげを一二|分《ぶ》ほども延ばして、頑丈《がんじょう》な容貌《ようぼう》や体格に
不似合いなはにかんだ口つきで、田島という、男のような女学者と話をしている様子が見....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ほどに気を転倒させて。
声をかけたのは三十前後の、眼の鋭い、口髭《くちひげ》の
不似合な、長顔の男だった。農民の間で長顔の男を見るのは、豚の中で馬の顔を見るよう....
「星座」より 著者:有島武郎
の辺で癖のように両手を拭きながら自分の研究室から出てくるのに遇《あ》った。教授は
不似合な山高帽子を丁寧《ていねい》に取って、煤《すす》けきったような鈍重な眼を強....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
でいま本当の時刻は……」と老人は隅の方をゴソゴソ探していたが、やがてこの土窟には
不似合なピカピカする大型の懐中時計を探し出してきて、「今正に午前二時二十分だ。い....
「蠅男」より 著者:海野十三
いた。 もう一つ、書き落としてはならないものがあった。それはこの部屋にはむしろ
不似合なほどの大|暖炉だった。まわりは黒と藍との斑紋もうつくしい大理石に囲われて....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
まった大きなひとつの吊りランプが私の眼を惹いた。部屋の中央には、およそこの部屋に
不似合な一脚の事務机が据えられてあり、その上の隅には、書類用の小箪笥が乗せてある....
「火薬船」より 著者:海野十三
腹に、一隻のボートが、大きくゆれながら、繋留していることだった。そのボートには、
不似合いな大きなはたが、はためいていた。 (おお、あれは軍艦旗のようだ!) 竹....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
刈った、気の利いた若いもの、風俗は一目で知れる……俳優部屋の男衆で、初阪ものには
不似合な伝法。 「まさか、天満の橋の上から、淀川を控えて、城を見て――当人寝が足....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ずっと若く見える性質なので二十三、四にもなるらしい大きなカテリイヌを娘と呼ぶのが
不似合に見えた。ましてその娘の自慢の仕方はいくら酔の上と見ても日本人の新吉をはら....
「荘子」より 著者:岡本かの子
く、切れの鋭い眼には思索に疲れたものに有勝ちなうるんだ瞳をして居た。だが、顔色に
不似合な赤い唇と、ちぢれて濃い髪の毛とは彼が感情家らしいことを現わして居る。そう....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
る。闇夜だが、時々雲の隙から月光が射すのでこれ等の景が見える。座敷の正面に荒家に
不似合いの立派な仏壇が見え、正座に蓮如上人を据え、源右衛門と妻のおさきが少し離れ....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
た。時に行商からかえって汚れものなど洗濯している彼女の、かかる貧しい村にあっては
不似合なほどなまめかしいふうや、臆面もなく露わな脇の下、白いはぎなどを見て、村人....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
――そこで遊ぶには最低、いくらかかりましょう」 国太郎は相手があまりに身分に
不似合な問いを平気で訊ねるのに引込まれ、彼も極めて事務的に答える。 ――左様、....