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「不作〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不作の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
かけた。製線所では割合に斤目《はかり》をよく買ってくれたばかりでなく、他の地方が不作なために結実がなかったので、亜麻種《あまだね》を非常な高値《たかね》で引取る....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
人は行状のいい人で、今度大切の一軸を手放すというのも、自分の知行所がこの秋ひどい不作であったので、その村方の者どもを救ってやるためであるということが判った。それ....
親子」より 著者:有島武郎
違ない。しかも自分とはあまりにかけ離れたことばかり考えているらしい息子の、軽率な不作法が癪にさわったのだ。 「おい早田」 老人は今は眼の下に見わたされる自分の....
振動魔」より 著者:海野十三
乞わずに、黙って入りこむのが慣例になっていた。柿丘が呉子さんを迎えてからは、この不作法極まる訪問様式を、厳格に改めたいと思ったのではあるが、どうも習慣というのは....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
り、配給はいよいよ微力となった。過日の台風によって本年は稲が遅い開花期をやられて不作確実となり、朝鮮、台湾、満州を失ったのに加えて泣き面に蜂のていである。 庶....
暗号の役割」より 著者:海野十三
来なかった。 「爆破しますか」 碇健二が、しびれを切らせていった。 「そういう不作法なことは、おれは嫌れえだ。あくまで錠前を外して開くんだ」 烏啼は頑として....
天守物語」より 著者:泉鏡花
ぐ、知行とりども人間の大声は騒がしい。まだ、それも鷹ばかりなら我慢もする。近頃は不作法な、弓矢、鉄砲で荒立つから、うるささもうるさしさ。何よりお前、私のお客、こ....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
稚児が仰いで、熟と紫玉を視て、 「手を浄める水だもの。」 直接に吻を接るのは不作法だ、と咎めたように聞えたのである。 劇壇の女王は、気色した。 「いやにお....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
らせば踏もうとする。 「ちょッ。」 一樹の囁く処によれば、こうした能狂言の客の不作法さは、場所にはよろうが、芝居にも、映画場にも、場末の寄席にも比較しようがな....
星女郎」より 著者:泉鏡花
目を開いたんですから、しまった! となお思ったんです――まるで、夕顔の封じ目を、不作法に指で解いたように。 はッとしながら、玉を抱いた逆上せ加減で、おお、山蟻....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
すと、相手にあっさりと片づけられてしまったので、私の頭はよけいに混乱して、婦人に不作法ではあったが、そのままに黙っていた。しかも彼女の優しい眼で見られると、わた....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
中国辺の山道にさしかかりて、草刈りの女に逢う。その女、容目ことに美しかりければ、不作法に戯れよりて、手をとりてともに上る。途中にて、その女、草鞋解けたり。手をは....
清心庵」より 著者:泉鏡花
って来て、分れて出ると、戸を閉めたの。少し行懸ると、内で、 (おお、寒、寒。)と不作法な大きな声で、アノ尼様がいったのが聞えると、母様が立停って、なぜだか顔の色....
三枚続」より 著者:泉鏡花
の青年は、先刻門内から左に見えた、縁側づきの六畳に畏って、件の葭戸を見返るなどの不作法はせず、恭しく手を支いて、 「はじめましてお目に懸ります。」 「はあ、貴方....
日本画と線」より 著者:上村松園
に残念に思うところでございます。 殊に若い画家達の描いた画……あの細い無造作で不作法な錬金を連ねたような拙ない線から成る、そして色彩でごまかしたような画、そん....