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「不入〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不入の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新生」より 著者:島崎藤村
うに言った。 「あれは他《よそ》の家の子供です」 節子は勝手口に近い小部屋の鼠不入《ねずみいらず》の前に立っていて、それを答えた。何となく彼女は蒼《あお》ざめ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
わたしの叔父は江戸の末期に生まれたので、その時代に最も多く行なわれた化け物屋敷の不入の間や、嫉み深い女の生霊や、執念深い男の死霊や、そうしたたぐいの陰惨な幽怪な....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
辺の行跡何とも無分別候、行末何になるべき覚悟に哉……弓馬は男の業也器用も不器用も不入候可稽古事也、国を治む文武二道なくては更に叶べからず候、……其上君子|重ずん....
新世帯」より 著者:徳田秋声
綺麗に掃いてくれる。始終薄暗かったランプがいつも皎々と明るく点されて、長火鉢も鼠不入も、テラテラ光っている。不器用なお作が拵えてくれた三度三度のゴツゴツした煮つ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
事になるとそれは不十分なものであった。 私の藩は今の鈴ヶ森あたりから、大井村、不入斗《いりやまず》村へかけての固めを言付かり、私の父もその頃側役から目付に転じ....
寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
のみで劇的の場面が少なく、時は歳末といい、俳優も中流であったので、かたがた不評の不入りに終わった。 その翌年、三十三年八月に円朝は世を去ったのである。その年の....
過渡人」より 著者:豊島与志雄
く見せている。その窓の下の方に、一寸した煩事用の仕掛があって、その横の棚にある鼠不入《ねずみいらず》の中には茶椀などの食器類がごちゃごちゃと入っている。床《ゆか....
反抗」より 著者:豊島与志雄
れてしまうと、お清は縁側に出て何やらこそこそ探し始めた。縁側の端には、孤格子の鼠不入《ねずみいらず》の前に、七輪や徳利や鍋などが散らばっていた。彼女は小さなコッ....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
ある」 里虹の行衛が知れなくなって何月目か後のこと、警察でも尋ねあぐんで、結局不入りのための失踪ということでケリをつけたのだが、その日、先夜の四人を前に儀右衛....
」より 著者:岡本綺堂
てみても判ることだが、同じような映画館がたくさんに列んでいても、そのなかに入りと不入りがある。両国の観世物小屋にもやはり入りと不入りはまぬかれないので、何か新し....
土の中からの話」より 著者:坂口安吾
。けれども税そのものを逃げるという手段もあって、口分田は税をとられるが荘園は国司不入の地であるから自分の田畑を逃げて荘園へ流れこむ。又は自分の土地を荘園へ寄進し....
小坂部伝説」より 著者:岡本綺堂
もので、小坂部の怪談に託して豊臣滅亡後の大坂城をかいたのである。現に大坂城内には不入の間があって、そこには淀君の霊が生けるがごとくに棲んでいるなどと伝えられてい....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
その頃の戯曲界 坪内博士の新史劇――戯曲は雑誌でもお断わり――新作「悪源太」――不入の間――新作「上杉謙信」 自作初演の思い出 三人合作の二番目――藪入り連中を....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
聯想せずにはいられなかった。日常家庭生活においても二葉亭の家庭は実の親子夫婦の水不入で、シカモ皆好人物|揃いであったから面倒臭いイザコザが起るはずはなかったが、....
明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
は一番目を「千本桜」に換え、二番目をそのままにして、菊五郎が河内山を勤めたるも、不入りに終る。 ○七月一日、歌舞伎座にて仏国人の魔術を興行。その技術あまりに拙し....