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不十分
「不十分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不十分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
青柿を投げつけられたと云うのも、猿に悪意があったかどうか、その辺《へん》の証拠は
不十分である。だから蟹の弁護に立った、雄弁の名の高い某弁護士も、裁判官の同情を乞....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
てしまうかも知れない。私はその時読者の忍耐の弱さを不満に思うよりも私自身の体験の
不十分さを悲しむ外はない。私は言葉の堕落をも尤めまい。かすかな暗示的表出をたより....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
れてきたが、現代に至って地質学上のいろいろの発見から、このエネルギーの源では到底
不十分であるということが明白に見すかされるようになった(『宇宙の成立』第三章参照....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
る関係上、戦争の発達は西洋に於て、より系統的に現われたのは当然である。私の知識の
不十分から、研究は自然に西洋戦史に偏したのであるが、戦争の形態に関する限り甚だし....
「新日本の進路」より 著者:石原莞爾
退せるソ連との二大陣營の對立と見ることもできる。 この觀察にはいまだ徹底せざる
不十分さがあるかも知れぬが、日本が獨立國家として再出發するに當つては、共産黨を斷....
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
て残されたものは一つもないのであるから、まことに根拠は薄弱で、断罪の日には「証拠
不十分」として裁判官から一蹴されるべき性質のものだった。 この個條書を、くりか....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、秋の朝風に飛ぶようにひらめいている。これを七夕の笹のようだと形容しても、どうも
不十分のように思われる。解り易く云えば、子供のもてあそぶ千代紙の何百枚を細かく引....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
の子細は御承知ないのですね。」 「彼はしきりにしゃべるのですが、僕たちは支那語が
不十分の上に、相手は満洲なまりが強いと来ているので、なにを言っているのか一向わか....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
冊焼けても夫程惜しくないと云う人があるかも知れぬが、日本のような外国書籍の供給が
不十分な国では、一冊や二冊でも頗る大切である。且其の焼けた一冊が他日の大発明家、....
「獄中記」より 著者:大杉栄
や子供の絵ではなく、まったく似てもつかない他人の顔なのだ。 寧斎殺しの方は証拠
不十分で無罪になったとか言って非常に喜んでいたことがあった。また、本当か嘘か知ら....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
教務所長が収賄をして千葉監獄へ収監されたという記事を発見した。もっともその後証拠
不十分で放免になったと聞いたが。 教誨師については先日面白い話を聞いた。荒畑と....
「火星兵団」より 著者:海野十三
えば、これぐらいの速度を出すエンジンで、十分だろうと思っていたが、今となっては、
不十分だとわかった。今さら言っても仕方がない」
博士は、設計に
不十分な点があっ....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
責めてももう遅かった。又それだけのことを知ったのでは、この事件の謎を解くにはまだ
不十分であった。しかしこういうヒントをあたえられて、溝口医師は前後の事情を照らし....
「妖怪学」より 著者:井上円了
とし大を小とする等、実際とはなはだしく懸絶すること通常なり。また、夢の作用は全体
不十分なるものなれども、醒覚のときよりかえって十分なることあり。夢中に詩を作り文....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
、かつ故人を追懐する感慨に失して無用の冗句を累ね、故人の肖像のデッサンとして頗る
不十分であった。即ち煩冗を去り補修を施こし、かつ更に若干の遺漏を書足して再び爰に....