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「不味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ばれた膳にむかって、浅草紙のような海苔をかけた蕎麦を我慢して食った。そのいかにも不味そうな食い方を横目に視て、鳥さしの老人は笑いながら云った。 「ここらの蕎麦は....
婦系図」より 著者:泉鏡花
章なさんな。 僭上だよ、無礼だよ、罰当り! お前が、男世帯をして、いや、菜が不味いとか、女中が焼豆腐ばかり食わせるとか愚痴った、と云って、可いか、この間持っ....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
になって、どうしたことか急に悪いことになり、とうとう奥様は御離縁という、まことに不味いお話になってしまったんでございます。 ――いや全く、なんだって今更御離縁....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
わせていたが、やがて荒々しく室を出ていった。 居残った私達三人の間には、妙に気不味い沈黙がやって来た。が、まもなく夫人は、なにか意を決したように顔をあげると、....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
っとこの煎餅の正体が判ったよ。この奇妙な子供の玩具の小さな風車みたいな、如何にも不味そうな煎餅は、普通に食用に供するものではなく、干菓子の中でも一番下等な焼物の....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
で火を焙して、お椀の汁を適度に温め、すぐ箸が執れるよう膳を並べて帰って行く。 「不味いものを食うくらいならいっそ、くたばった方がいい」 これは、美味のないとき....
河明り」より 著者:岡本かの子
こり現れた。 ある一軒の料亭で船乗りの宴会があった。少し酔って来るとみな料理が不味いと云い出した。苦笑した料理方が、次から出す料理には椀にも焼ものにも塩一つま....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
みたいになってしまうのだよ」 それから一息いれた体で、冷たくなった残りの紅茶を不味そうに流し入れてから、法水は一気に語り続けた。 「ところで、それがすんで第三....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
い。 私は、そうして暖まり、肉も喰った。しかし肉は、枯痩のせいか革を噛むように不味かった。マヌエラ、私がなにをしようと許してくれるだろうね。 ところが、三つ....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
朴な、実直な、しかも要するに猪突な質問を受けた事はかつてない。 ところで決して不味くはないから、 「ああ、おいしいよ。」 と言ってまた箸を付けた。 「そりゃ....
獄中消息」より 著者:大杉栄
のだ。雑誌は不許になったので見ることはできぬが、編集は守田のお骨折のことなれば、不味かろう筈はあるまい。少なくとも以前に僕が、いやいやながらに怠け怠けてやってい....
石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
は宏に実、年齢は二人とも二十八歳。――明かに双生児だ。 一瞬、人々の間には気|不味い沈黙が漲った。が、すぐに郵便屋が、堪えかねたように顫える声で叫んだ。 「こ....
荘子」より 著者:岡本かの子
ゆい娘でございますね」 だが荘子はまたそれに重ねて笑う気持にもなれず、相変らず不味そうにもそりもそり夜食の箸を動かして居る。 妻の田氏は魏の豪族田氏の一族中....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
れば必ず一日遊んでいた。時としては朝早くから私の寝込を襲うて午飯も晩飯も下宿屋の不味いものを喰って夜る十一時十二時近くまで話し込んだ事もあった。 その時分即ち....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
「サイダー」を一口二口飲みながら上る。「サイダー」は甘味があり粘りがあって極めて不味だ、かかる時は冷き清水に越すものはない、自然は山人に「サイダー」にもまさる清....