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「不器〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不器の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
ったついでにラムプを提げてはいってきた。そしてそれを部屋の真中にぶらさがっている不器用な針金の自在鍵《じざいかぎ》にかけながら、 「降られはしなかったけえ」と尋....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
言った。しかしそれはおもしろいという意味ではもちろんない。なぜなれば君はしばしば不器用な言葉の尻を消して、曇った顔をしなければならなかったから。そして私も苦しい....
親子」より 著者:有島武郎
げさせた。 「それを百二十七町四段二畝歩にするといくらになるか」 父はなお彼の不器用な手許から眼を放さずにこう追っかけて命令した。そこで彼はもうたじろいでしま....
海底大陸」より 著者:海野十三
よ」 「そうとうのえもの?」 スミス警部は、いそいで双眼鏡を目にあてた。かれは不器用な手つきで、ピントを合わせていたが、やがてとび上がるようにさけんだ。 「あ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
へお次ぎへと廻して居りゃ、それで人間かい。畢竟芝居上手が人間で、己れっち見たいな不器用者は虫なんだ。 見ねえ、死って仕舞やがった。 何処からか枯れた小枝が漂....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
……私が剥きます。――お世話を掛けてはかえって気遣いな。どれどれ……旅の事欠け、不器用ながら、梨の皮ぐらいは、うまく剥きます。おおおお氷よりよく冷えた。玉を削る....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
盆を落し、はっと座ると一所に、白糸もトンと座につき、三人ひとしく会釈す。 欣弥、不器用に慌しく座蒲団を直して、下座に来り、無理に白糸を上座に直し、膝を正し、きち....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
して頂きやしょう。いえ、自慢じゃありませんがね、昨夜ッから申す通り、野郎|図体は不器用でも、勝奴ぐらいにゃ確に使えます。剃刀を持たしちゃ確です。――秦君、ちょっ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
で。御存じでもあろうが、あれは爪先で刺々を軽く圧えて、柄を手許へ引いて掻く。……不器用でも、これは書生の方がうまかった。令夫人は、駒下駄で圧えても転げるから、褄....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
三重はもう、他愛なく娘になって、ほろりとして、 「あの、前刻も申しましたように、不器用も通越した、調子はずれ、その上覚えが悪うござんして、長唄の宵や待ちの三味線....
南地心中」より 著者:泉鏡花
」 たちまち猛然としてまた浮いた。 で、のしり、のしりと板へ手をかけ、見るも不器用に、堅い体を伸上げる。 「しっかりしっかり、今度は大丈夫。あ、また辷った。....
露肆」より 著者:泉鏡花
立の凜々しい、頬は窶れたが、屈強な壮佼。 渋色の逞しき手に、赤錆ついた大出刃を不器用に引握って、裸体の婦の胴中を切放して燻したような、赤肉と黒の皮と、ずたずた....
多神教」より 著者:泉鏡花
、テンツルテンツルテンツルテンか、鋸で樹をひくより、早間な腰を振廻いて。やあ。(不器用千万なる身ぶりにて不状に踊りながら、白拍子のむくろを引跨ぎ、飛越え、刎越え....
」より 著者:犬田卯
きは胸が静まらなかった。覚束ない手つきで苗を取っているおさよの、そののろのろした不器用さまでが癪に触った。 「そんな取り方で植えられっか、このでれ助阿女――」と....
式部小路」より 著者:泉鏡花
嬢さん、」 「久しぶりだ、あたっておくれ、」 「お顔を、」 「ああ、私は自分じゃ不器用だし、おばさんは上手だけれど、目が悪いからッて危ながって遠慮をするしね。近....