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不夜城
「不夜城〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不夜城の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
一人《ひとり》がデッキへはい出た時には、今汽笛を鳴らして通った船は、浮かべる一大
不夜城の壮観を見せて、三マイルも行き過ぎているであろう。 このようにして、わが....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
便なく響が切れて行く光景なれば、のべの蝴蝶が飛びそうな媚かしさは無く、荒廃したる
不夜城の壁の崩れから、菜畠になった部屋が露出しで、怪しげな朧月めく。その行燈の枕....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
、近代文明の不思議な機械や、魔術のような大都会や、玻璃宮《はりきゅう》の窓に映る
不夜城の美観を眺めて、この上もなく詩的なものに思うであろう。現代の吾人にとってみ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
伊兵衛を送ってまつ川の門ぐちへ出たときは、さしも北里のるいを摩《ま》するたつみの
不夜城も深い眠りに包まれて、絃歌《げんか》の声もやみ、夜霧とともに暗いしじまがし....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
いたが、今夜も酒宴と思われて、陽気な声が聞こえてくる。間毎々々に点もされた燈が、
不夜城のようにも明るく見える。 「どうしたのだろう、遅いではないか」 縁に腰を....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
た。そして、世の中にこんな明るい夜が実際にあるものだろうかとおもった。数年を経て
不夜城と言う言葉を覚えたが、その時も上野駅にはじめて著いたときの印象を逆におもい....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
別荘地――これは伝馬町の牢屋で病気に罹ったものを下げる不浄な世界――そのお隣りが
不夜城の吉原です。溜に寄った方が水道尻、日本堤から折れて這入ると大門、大江戸のこ....
「名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
あつたものだが、遊郭がなくなつてからは、げつそりと寂しくなつた。観音堂裏は、昔の
不夜城の入口で、今僅かに玉ころがしや空気銃、夏向きには鮒釣りなどで、職人肌の兄貴....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
揺れて、夕靄の立ち籠むる湖面の彼方、家々の窓にともる赤い灯影、アンジアン娯楽場の
不夜城はキラキラと美しく水の面に映っている。時はちょうど九月の末、雲間を洩るる星....
「エキゾチックな港街」より 著者:小野佐世男
ものです。 何時ともなく、この問題の夜の街に現われて見たのです。岡の上に絢爛と
不夜城の如くそびえる、銀座にもめずらしいというキャバレーカスパの豪華な入口にユニ....
「ストリップ修学旅行」より 著者:小野佐世男
入袋がめいめいにくばられた。 「お酒もビールも充分に用意してありますから、どうか
不夜城のつもりで大いにやって下さい、そして、又明日から舞台で大いに色っぽいところ....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
江戸盛時の演劇を眼前に髣髴《ほうふつ》たらしめ、歌麿《うたまろ》栄之《えいし》は
不夜城《ふやじょう》の歓楽に人を誘《いざな》ひ、北斎広重は閑雅なる市中《しちゅう....
「里の今昔」より 著者:永井荷風
だ上《のぼ》らず、霊あるが如き星のきらめきは、仰げば身も冽《しま》るほどである。
不夜城を誇顔《ほこりがお》の電気燈は、軒《のき》より下の物の影を往来へ投げておれ....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
いて見ました。 あすこにもし、四階建ての大ホテルでも聳えたならば、ホテルは夜の
不夜城のごとく海原遠く俯瞰して、夏知らずの大避暑地を現出するでしょう。たしかに、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
す。これ、初めて夜半の太陽を見たるを報じ、かつ祝するの意なり。 船入認、真是人間
不夜城。 (船は北洋に入ってどれほどの里程であるのか、初めて白日の真夜中を照らす....