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不忍池
「不忍池〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不忍池の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
義は全国にわたって、この大いなる中世の城楼を、なんの容赦もなく破壊した。自分は、
不忍池《しのばずのいけ》を埋めて家屋を建築しようという論者をさえ生んだわらうべき....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れが更に尾鰭を添えて、ある剛胆な男がそっと彼の婆さんのあとをつけて行くと、かれは
不忍池の水を渡ってどこへか姿を隠したなどと、見て来たように吹聴する者もあらわれて....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
それが済むと、彼は始めて微笑を浮べながら、妾を労らった。それから再び外へ出て
不忍池を真下に見下ろす、さる静かな料亭の座敷へ連れこんだのだった。いよいよ貞雄は....
「河明り」より 著者:岡本かの子
であった。やがて石神井川が飛鳥山と王子台との間に活路を拓いて落ちるようになって、
不忍池の上は藍染川の細い流れとなり、
不忍池の下は暗渠にされてしまって、永遠に河身....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
理由があった。いまから十八年前、画学生の逸作と娘歌人のわたくしとは、同じ春の宵に
不忍池を観月橋の方から渡って同じくこの料亭のこの座敷でご飯を食べたのであった。逸....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
いような、物凄いところです。昔は非常に大きい池だったそうですが、今ではまあ東京の
不忍池よりも少し広いくらいでしょう。遠い昔には龍が棲んでいた。――おそらく大きい....
「光の中に」より 著者:金史良
塔のまわりをにぎやかに飛び交っていた。灯籠の傍に出ると下の方に茂みの合間を通して
不忍池が見渡される。それは鏡をのべたように夕陽に照り返り時々ぎらぎらと金色に光っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なもので、今ならば何でもないことだが、あの時分には大騒ぎになる。十二月の寒い晩に
不忍池へ飛び込んで、こっちも危く凍え死ぬところ。あいつは全くひどい目に逢った」 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、緡束を両手に、二筋振って、きおいで左右へ捌いた形は、空を飛んで翔けるがごとし。
不忍池を左に、三枚橋、山下、入谷を一のしに、土手へ飛んだ。……当時の事の趣も、ほ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
れ」「ご免くだされ」事もなく二人は別れたものである。 で、老武士はゆるゆると、
不忍池に沿いながら、北の方へあるいて行った。二町余りもあるいたであろうか、彼は杭....
「異妖編」より 著者:岡本綺堂
浜辺で白龍を見たという一節を思いあわせて、かの怪物はおそらく龍であろうと考えた。
不忍池にも龍が棲むと信じられていた時代であるから、彼がこの凄まじい暴風雨の夜に龍....
「鯉」より 著者:岡本綺堂
は私だ。そのときちょうど二十歳であったが、その鯉の大きいにはおどろいた。まったく
不忍池の主かも知れないと思ったくらいだ。」 二 新堀|端に龍宝寺とい....
「おせん」より 著者:邦枝完二
るな、勿体ねえなァ」 駕籠はいま、秋元但馬守の練塀に沿って、蓮の花が妍を競った
不忍池畔へと差掛っていた。 三 東叡山寛永寺の山裾に、周囲一|里の池を....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
時々九段や、猿楽町……震災で焼けたけれど、本舞台へ来て見物したって、ふん、雁鴨の
不忍池に、何が帆を掛けてじゃい、こっちは鯨の泳ぐ大潟の万石船じゃい――何のッて言....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
心地よろしゅうございますか。上野|倶楽部というのは私には見当がつきません。しかし
不忍池のほとりならばまあ下宿としては眺めもあって結構と申さなければなりますまいね....