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不恰好
「不恰好〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不恰好の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
館の停車場に着くと彼はもうその建物の宏大もないのに胆《きも》をつぶしてしまった。
不恰好《ぶかっこう》な二階建ての板家に過ぎないのだけれども、その一本の柱にも彼れ....
「星座」より 著者:有島武郎
た。母がつづいてはいってきた。丸々と肥えた背の低い母は、清逸を見上げるようにして
不恰好に帯を揺りあげながら、
「やっぱりよくないとみえるね」
と心配を顔に現わ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
きれそうだった。 「そんなに云うなら」 と長造は、自分のお尻のそばに転っている
不恰好な愛児の製作品をとりあげて云った。 「お父|様はお礼を云ってしまっとくよ」....
「地球盗難」より 著者:海野十三
長異常現象に遭ってまるで化物のような巨大な身体をもっている。だから彼はそのような
不恰好な身体を大隅に見せることを好まぬだろうと思って遠慮していたのである。しかし....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
し込む薄日に短い鰭と尾を忙しく動かすと薄墨の肌からあたたかい金爛の光が眼を射て、
不恰好なほどにも丸く肥えて愛くるしい魚の胴が遅々として進む。復一は生ける精分を対....
「火星探険」より 著者:海野十三
のを紹介すると、トミーという少年は、おじいさんの老眼鏡のレンズを利用して手製した
不恰好なカメラを贈ってくれた。そしてもしアリゾナに、鳥の羽根を頭にさしたインディ....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
のであることに気がついた。さてはと道夫の胸はおどった。 老人はつと立って、例の
不恰好な厚着をした身体をぶるんとふるわせると、物もいわずに逃げだした。 「話があ....
「人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
太は、ひとりでどんどん走りだした。 これを見た大辻は、大あわてで、そのあとから
不恰好な巨体をゆるがせて、正太についてくる。正太は一生けんめいだ。ものもいわない....
「雷」より 著者:海野十三
は背の高い杉の二本柱の天頂に、まるで水牛の角を真直にのばしたような、ひどく長くて
不恰好な銅の針がニューッと天に向って伸びているのだった。その銅針の下には、お銚子....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
とじゃないか。帝国軍人が、いくら暑いからといって、こんな外人のいるところへ来て、
不恰好な素裸でいられるものかい。帝国軍人の威信に関わる」 「おや、なんだか議論が....
「流線間諜」より 著者:海野十三
「そうでしょうかしら」と帆村は首を振って「私はたいへん不思議です。第一このような
不恰好な燐寸箱が、そのようなスマートな手提に入っていることが不思議であり、第二に....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
見た騒動の話をしていましたのと、その立ち上がって帰る時に見た、お尻の処にダラリと
不恰好にいかにも間のぬけたようにブラ下げた、田舎々々した白縮緬の兵児帯とが私の頭....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
になりますと、籠を出た鳥のように、町を、山の方へ、ひょいひょいと杖で飛んで、いや
不恰好な蛙です――両側は家続きで、ちょうど大崩壊の、あの街道を見るように、なぞえ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
た処を、ずっと前方まで附添ったんだ。腰附、肩附、歩行く振、捏っちて附着けたような
不恰好な天窓の工合、どう見ても按摩だね、盲人らしい、めんない千鳥よ。……私あ何ん....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
出て人も居ないのに妙に、ひがんで、はにかんで、あわてて引き返す、トカゲとか、重い
不恰好な胴体を据えて、まじまじとして居る、ひきがえるとか。 人にしても、辞令に....