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不惑
「不惑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不惑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女の決闘」より 著者:太宰治
て在るものだからであります。その一つは、好色の念であります。この男は、よわい既に
不惑《ふわく》を越え、文名やや高く、可憐無邪気の恋物語をも創り、市井《しせい》婦....
「猫町」より 著者:萩原朔太郎
うにもあれ、宇宙の或る何所かで、私がそれを「見た」ということほど、私にとって絶対
不惑の事実はない。あらゆる多くの人々の、あらゆる嘲笑《ちょうしょう》の前に立って....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
うまでもない。長生をしてこの二人のように頭がたしかに使えるのはなおさらめでたい。
不惑《ふわく》の齢《よわい》を越すと間もなく死のうとして、わずかに助かった余は、....
「浮浪漫語」より 著者:辻潤
腕力も美貌も技能もなんにもない男だ――それでもせめて年でも若いなら、未だしも最早
不惑の年に手が届きそうになっている。それにも拘らず尚一ツ、若く美しくやさしい女性....
「弟子」より 著者:中島敦
ように、子路は今は何としてもこの人から離れられなくなっていた。 その時、四十而
不惑《しじゅうにしてまどわず》といった・その四十|歳《さい》に孔子はまだ達してい....
「厄年と etc.」より 著者:寺田寅彦
た躯を荒野に曝すのが偉大であるか愚であるか、それは別問題として、私は「四十にして
不惑」という言葉の裏に四十は惑い易い年齢であるという隠れた意味を認めたい。 二....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
がね》を眼前にかざして刃筋をにらむ……。
それは真に、たましいを削るような三昧
不惑《さんまいふわく》の場面であった。
と見るまに。
その幻影は掻き消えて、....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
一人は夭折したが、三人はもう大きくなって長男は高等学校へ入っても居る。そして俺は
不惑の年を越したが益々元気である。……だが、それだけだ。 この「それだけだ」と....
「勉強記」より 著者:坂口安吾
。どれもこれも、手のつけられない大悪党ばかりである。言語道断な助平ばかりで、まず
不惑という年頃までは、女のほかの何事も考えるということがない。仏教第一の大哲学者....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
が、なにか切実ではなかったような思いがする。 四十にして惑わず、という、孔子は
不惑をどの意味で用いたのか知らないけれども、私にとっても、四十はまさしく
不惑で、....
「釣り師の心境」より 著者:坂口安吾
をきわめているというのは、あんまり気持のよいものではない。だいたい女というものは
不惑をすぎるころから、自然に一流の悟りをひらくようである。こういう達人は薄気味が....
「或教授の退職の辞」より 著者:西田幾多郎
る境遇に置かれた私には、それ以上の境遇は一場の夢としか思えなかった。然るに歳漸く
不惑に入った頃、如何なる風の吹き廻しにや、友人の推輓《すいばん》によってこの大学....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
通う一人の少女があった。間もなく卒業したと見えて姿を見せなくなったが、私は後年年
不惑を過ぎミュンヘンの客舎でふとその少女の面影を偲んだことがある。あるいは目前に....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
の詞どおりを堅く守っているのだね。
概して詞に、言句にたよるに限る。
そうすれば
不惑の門戸から
堅固の堂宇に入ることが出来る。
学生
しかし先生、詞には....
「友情に関係あるエッセイ」より 著者:戸坂潤
ある。之は何としたことだろうか。 私は言葉通り無為と徒然との境遇の内に、いつか
不惑の年の瀬を越えて了った。常識の一種からすれば四〇歳はたしかに生涯の一つの自然....