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不慣れ
「不慣れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不慣れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
「こんな所まで……恐れ入ります。わたし早月葉《さつきよう》と申しますが、旅には
不慣れでおりますのにひとり旅でございますから……」
といってひとみを稲妻のよう....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
んに藁葺屋根の黒い影を洗っていたが、あまり水が多すぎたのと、筆の使い方がなかなか
不慣れなので、黒いものがかってに四方へ浮き出して、せっかく赤くできた柿が、陰干の....
「分配」より 著者:島崎藤村
手にするほどの紙幣の束の中から、あの太郎あてに送金する分だけを別にしようとした。
不慣れな私には、五千円の札を車の上で数えるだけでもちょっと容易でない。その私を見....
「元禄十三年」より 著者:林不忘
ぬ。一生に一度のお役であるから、万事承知しておる者は、誰もないのです。みな同じく
不慣れである。で、
不慣れのゆえをもってこの勅使饗応役《ちょくしきょうおうやく》を....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
《はい》ッて見ると大違い、尤《もっと》も客も相応にあッたが、給事の婢《おんな》が
不慣れなので迷惑《まごつ》く程には手が廻わらず、帳場でも間違えれば出し物も後《お....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
合が悪いとかいう理由も同様で本気で信じることは出来ない。一等尤もな理由は恐らく、
不慣れのために実生活で間々不都合なことが生じるという点にあるのだろうと思うが、そ....
「頸飾り」より 著者:辻潤
りることにした。 彼女は初めて労働の苦痛を知り始めた。そして、面倒な台所仕事を
不慣れな手つきでやり始めた。ほんのりと桃色をした柔らかな指先で脂ぎった茶碗や皿を....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
をきいてみることさえ、よくないことのように思われるのだった。それに、商売の方も、
不慣れなために、とかく手ちがいだらけであり、次郎のために特別の支出でもすることに....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
っぱしから、それに酒をつめて行った。彼の手はいくぶんふるえていた。ただでさえまだ
不慣れな手だったので、桝からこほれる酒がやけにあたりに散らばった。 「もったいな....
「真間の手古奈」より 著者:国枝史郎
お前様のお話によれば、いずれも立派な若旦那なので、力業だの危険な業だのには、大方
不慣れでございましょう。で、漁師でさえ泳ぎかねるような、瀬の早い八筋の川を泳いで....
「城」より 著者:カフカフランツ
うするかきめなければなりませんでした。もしまちがったことをやったのなら、わたしが
不慣れで未熟なためとお許し下さい。婚約者がわたしのやったことを見たとき、わたしは....
「審判」より 著者:カフカフランツ
あらゆる結論をことごとく見渡すことができなかったし、その話が彼を導いていったのは
不慣れな思考法でもあった。彼にというよりも裁判所の役人の一味の論議にふさわしいよ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
まりである。ゆえに船客はみな、靴墨から洗濯シャボンまで持参して乗りおるが、拙者は
不慣れのためにその用意なく、少し閉口した。 さて、食事のときは一層大混雑である....
「〔付〕唯物論研究に就て(戸坂潤手記)」より 著者:戸坂潤
於て頒布したものがあり、これに対して所轄署の厳重な注意を受けたことは場内世話係の
不慣れに基づくもので、一大失態であった)。続いてその月二十日、建築会館に於て第一....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
た窮屈な寝台に押し込んでいる。兵の生活様式を急変することは、かれらの度胆を抜き、
不慣れの集団生活と絶対服従の規律の前に屈伏させる一手段であるかも知れないが、しか....