不明瞭[語句情報] » 不明瞭

「不明瞭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不明瞭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ょうのう》を取りかえたり、熱を計ったりした。 高熱のために貞世の意識はだんだん不明瞭《ふめいりょう》になって来ていた。退院して家に帰りたいとせがんでしようのな....
冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
睡《ね》むそうに提げている百|噸《トン》あまりの汽船のともの方から、見えない声が不明瞭になにか答えている。それは重々しいバスである。 「いないのかよう。××さん....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。然しそこに出来上った結果はその政治家の肖像でもなく、民衆の投影でもなく、粗雑な不明瞭な重ね写真に過ぎない。そしてそれは当事者なる政治家その人の一生を無価値にし....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
割合に単純なこの殺人事件を頗る複雑化したところの代物なんです。例えばまず第一に、不明瞭なこの事件の動機です。そして昨晩ラジオの演芸時間の始まる頃から、急に変られ....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
一の朦朧とした乾板色の意識が向うの宵色なのか、向うの宵色の景色が復一の意識なのか不明瞭となり、不明瞭のままに、澱み定まって、そこには何でも自由に望みのものが生れ....
パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
をも鏖にしなければならない。こういう場合、派手というのは、残酷の同意語であった。不明瞭な点を残さず、悉くそれを赤ときめて、一掃してしまえば功績も一層|水際立って....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の利己主義に対して再考を乞わねばならない。 君と僕との接触に対する意識が比較的不明瞭であって、友情の甘さのなかに無批評的に没頭し得た間はわれらはいかに深大なる....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
ある。 だが、あとに残った音声は、やはりアーティキュレーションがよくなかった。不明瞭《ふめいりょう》なのであった。 音声のゆがみは、直す方法がない。 もし....
雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
映画のことなら何でもよいから見計いで書けという命令であるが、私は天性頭脳朦朧、言語不明瞭、文章曖昧、挙動不審の人物であるからたちまちはたとばかりに当惑してしまう。....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
の老女に負けなかった。上の歯茎がこれも悪病でほとんど腐って取れていた。で、言葉が不明瞭であった。 「よくまあこれだけ詳しく正しくあの水戸様のお下屋敷を、写したも....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
たものである。 誤審の由来にもいろいろ理由はありましょうが、まず容疑に多少とも不明瞭でアイマイなものがある時は、強いて犯人をつくらないことが誤審をさける第一の....
甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
至れり。ただし、その口笛のごとき響きのみのときも、またよく談話するに至りし後も、不明瞭の状態より明瞭の状態に進み、次第に発達熟練せし跡ありきという。しからばすな....
迷信解」より 著者:井上円了
|礫ととなうるものあれど、これらは全く天狗に関係あるにはあらず。ただ、その原因の不明瞭なるより、これを天狗に帰したるまでである。そのくわしき説明は、拙著『天狗論....
」より 著者:カフカフランツ
それでは、このお話の成果は」と、Kはいった。「私が追い払われるまで、万事がひどく不明瞭で、解決のつかぬままでいるのだ、ということなのですね」 「測量技師さん、だ....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
川の上流地方はすべて片麻岩として記載してある。今までの所見では、岩の片状の構造が不明瞭なので、恰も花崗岩のように見えた、それで花崗片麻岩なる文字を用いることにし....